Phys1 03

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物理学1/物理学A

第3回 速度と加速度
速度・加速度
関数の話
やりたいこと:
物体の運動を調べる

物体の位置と速度を調べる これらを時間の関数として表したい

関数とは?
ある⼊⼒された変数に対して,出⼒ 関数
input output
の値が決まる対応関係のこと。 (函数)

例: y(x)=x2 x=2をinputするとy=4が得られる

時々刻々と変化していく物体の位置
物体の位置を時間の関数として表す
をその時刻とともに記録する

任意の時刻tにおける位置ベクトル
位置の記録
実⽤的には,こんな表ができる

t[s] x (x成分)[m] y (y成分)[m] z (z成分)[m]


0 0.2 0.5 -0.3
0.1 0.21 0.49 -0.31
0.2 0.22 0.47 -2.9
0.3 0.24 0.45 -2.7
0.4 0.26 0.46 -2.6
0.5 0.28 0.47 -2.5
0.6 0.30 0.45 -2.4
0.7 0.31 0.44 -2.3
… … … …

各成分の単位はm(⻑さの単位)
⼀次元の運動
話を簡単にするために,1次元の運動を考える

時刻tにおける物体の位置

この物体の速度を考える
思い出してみよう
速度とは?
単位時間あたりの位置の変化。 距離

素朴には 時間 速さ
位置の変化
x(t) x(t0 )
v=
t t0 かかった時間
⼀定速度の運動
⼀定の速度で運動している場合を考える

x(t) x(t0 )
=v ⼀定(時間によらない定数)
t t0
x(t) = v(t t0 ) + x(t0 ) = vt + x(t0 ) vt0
定数
x(t)はtの1次関数になる!
x

x(t0) x
t
x-tグラフの傾きがv

t0 t
1次関数の復習
y y = f (x) = ax + b 最も簡単で分かりやすい関数
a x
x 傾き 切⽚
b a
1
x
どのxの値に対しても,どんなΔxの値に対しても,yの値はxの変化の
a倍変化する(1次関数の特徴) y=a x ⽐例関係
傾きが急
y 「傾き」とは?
xが1変化する間にyがいくら変
傾きがゆるやか
化するかを表す量。

x x-tグラフの傾きはまさに速度に対応!
マイナスの傾き
例題
⼀定の速度で動いている物体を考える。
時刻t=0にx=0にいた物体が,時刻t=5sにx=10mへ移動した。
この物体の速度はいくらか?

10m 0
v= = 2m/s
5s 0

時刻t=2sにx=15mにいた物体が,時刻t=5sにx=‒30mへ移動した。
この物体の速度はいくらか?

30m 15m
v= = 15m/s
5s 2s

速度は⽅向も重要(マイナス⽅向へ位置が変化したらマイナスの速度)
等速度運動
https://www.youtube.com/watch?v=6I58kZybVUU
速度再考
(位置の変化/かかった時間)という計算は⾮現実的

全く無意味というわけではない

例:⾼速道路を使って100km先まで移動するのにどれ
くらいの時間を⾒込めば良いか?

例:徒歩で移動する際の速度はだいたいどれくらいか?

上記のようなことを考える際に使う「速度」の正確な意
味とはなんだろうか?
平均の速度と瞬間の速度
x(t + t) x(t)
v̄ = 時刻t〜t+Δtにおける平均の速度
t
平均の速度の概念を出発点として,瞬間の速度を定義する

時刻tから時間Δt経つ間の平均の速さを考える。
Δtを限りなく0に近づけたものを瞬間の速度(速度)という

x(t + t) x(t) dx(t)


v(t) = lim =
t!0 t dt
数学で登場する微分の定義そのもの

ある特定の時刻の情報だけでは速度は決まらない。
微⼩に時間が経ったところで再び位置を測定する必要がある。
⼀般の場合
x
x v= 傾きが速度
x (位置の変化) t

t
x0 (かかった時間)
x(t) = vt + x0 y = ax + b
t 先程の1次関数の話と対応
xがtの1次関数であれば,
速度vはどこでも同じ

x 複雑な形の関数の場合
地形だと思えば,
場所によって傾きが違う

t 時刻によって速度vが異なる
例題
x(t)=at2のように動く物体を考える。この物体の速度を時間tの
関数として表せ。

ある時刻tのときの物体の位置は,x(t)=at2である。
この時刻から,Δtだけ時間が経過したとき,すなわち,時刻
t+Δtにおける物体の位置はx(t+Δt)=a(t+Δt)2となる。
よって, x(t + t) x(t) a(t + t)2 at2
v̄ = =
t t
a(t2 + 2t t + t2 ) at2
= = a(2t + t)
t
t 0 の極限では
v(t) = lim v̄ = 2at
t 0
例題
x(t)=at2のように動く物体を考える。この物体の速度を時間tの
関数として表せ。

位置の微分が速度になるから,単に時間で微分しても同じ
答えが得られる。

dx(t)
v(t) = = 2at
dt
x-tグラフと速度
平均の速度=グラフ上の2点間を結ぶ直線の傾き
t 0
tのところでグラフに接する直線(接線)の傾き

x 傾きが平均の速度

dx
傾きが v =
dt

t t
1.0

0.5

-5 -4 -3 -2 -1 1

-0.5

-1.0
微分法の意味
微分法の本質は,曲線を接線で近似することにある

x 2 ⾚い線(曲線)を
x(t) = t 1
⻘い線(直線)で
O 1 t
近似できる!
x

1.2

1.1

1 拡⼤ 0.9

O 1 t 0.8

x 0.8 0.9 1 1.1 1.2 t


微分法の意味
なめらかな関数であれば,ある点の近傍で曲線の
グラフを直線で近似できる!
難しい複雑な関数を,簡単で理解しやす
い1次関数で近似して扱う

これが微分法の基本概念

普段の⽣活では
これと同じことをやって
地球は平らだと
いるにすぎない 思って不都合は 地球
ない
x 等速度運動による近似
思いきり拡⼤ x
t t

Δt を限りなく⼩さくする
t 0
限りなく⼩さくとったΔtをdtと表す
もし,関数がとがっていたら,そこは
いくら拡⼤しても接線で近似できない
tの微分
微分する=微分係数を求めること
微分不可能
• •

微分=微⼩変化分
限りなく⼩さな
dx(t)
v(t) = xの変化
複雑な運動も,微分可能な部分は微⼩ dt
時間の等速度運動をつなげたもので表 限りなく⼩さな
せる。 tの変化
3次元の場合
物体の位置を位置ベクトルで表す

成分で表す
dx(t)
dt
dy(t)
v(t) = dt r を変位ベクトルという
dr dz(t)
dt

r(t0 ) + dr

微⼩時間の運動は
真っ直ぐな⼀定速度
の運動と近似できる
速度と速さ
「速度」(velocity)は単位時間あたりの位置の変化なので,
⽅向も重要

ベクトル量
1次元運動の場合はプラス・マイナスの符号つきで表す

「速さ」(speed)は速度の⼤きさを表す v = |v|

スカラー
加速度と2階微分
単位時間あたりの速度の変化を加速度という
※たとえ減速していても「加速度」
速度の場合と同様に考えればよい。
v(t + t) v(t) dv(t)
a(t) = lim =
t 0 t dt
1次元の運動であれば
v(t + t) v(t) dv(t)
a(t) = lim =
t 0 t dt

ここで,速度と位置の関係に注⽬すると
a(t) =
dv(t)
=
d dr(t)
=
d2 r(t)
関数を2回連続微分するこ
dt dt dt dt2
とを2階微分するという
dv(t) d2 x(t)
a(t) = = 2
(1次元の場合)
dt dt
2階微分
dv(t) d2 x(t)
a(t) = =
dt dt2

2の位置に注意
分⺟はdtが2乗されているが,分⼦はdが2乗されている d2 x d(dx)
=
(xの微⼩変化(dx)のさらに微⼩な変化) dt 2 (dt)2

⼒学では,原則として2階微分までが登場する。
3階微分以上はほとんど出てこない。

2階微分の意義
全ての2階微分可能な関数は,微⼩区間では2次関数もしくは
1次関数(2階微分係数が0の場合)で近似できる。
例題1
1次元の運動を考える。
時刻tにおける物体の位置が次で与えられるとき,
この物体の速度と加速度を表す式を求めよ。
(Aは定数とする)
x(t) = A cos(2t)
例題2
3次元の運動を考える。
時刻tにおける物体の位置が次で与えられるとき,
この物体の速度と加速度を表す式を求めよ。
(A,Bは定数とする)
~r(t) = (A cos(2t), Be2t , 3t2 + 3)
微分の計算ルール
微分法の計算ルール
表 3.2 基本的な関数の導関数。
初等関数の微分
df (x)
f (x) dx

xα αxα−1
sin x cos x
cos x − sin x
1
tan x cos2 x

ex ex
1
ln x x
微分法の計算ルール
下記のルールと初等関数の微分を知っていて,根性さえあれば,
初等関数の組合せでできた関数はどんな複雑なものでも微分できる

関数 af(x)+bg(x)をxで微分する。

d(af (x) + bg(x)) df (x) dg(x)


=a +b
dx dx dx

関数 f(x)g(x)をxで微分する。

d(f (x)g(x)) df (x) dg(x)


= g(x) + f (x)
dx dx dx

d(f (x)g(x)) df (x) dg(x)


= とやってはいけない!!
dx dx dx
合成関数について
3.2 微分

合成関数とは:
2つの関数を合成した関数
z=g(f(x))

まずy=f(x)を求め,
出てきた値をz=g(y)
に代⼊してzを求める

z=g(f(x))は全体として
xをinputしてzが決まる
ようになっている。

図 3.10 合成関数の構成
微分法の計算ルール
合成関数の微分

dg(f (x)) dg(y) df (x)


=
dx dy dx

合成関数の微分の使い⽅
x(t) = (3t 1)3 + 2(3t 1)2 3(3t 1) + 1
の導関数を求める

y = 3t 1 とすると,
3 2
x(y) = y + 2y 3y + 1
dx dx dy 2
= = (3y + 4y 3)3
yを元 dt dy dt
に戻す
2
=3 3(3t 1) + 4(3t 1) 3
微分法の計算ルール
逆関数の微分

f(f‒1(x))=xを満たす関数f‒1(x)をf(x)の逆関数という。
例えば f (x) = x2 の逆関数は f 1
(x) = x

ここで紹介した,初等関数の微分および,微分計算の基本
ルールさえ理解しておけば,たいていの微分の計算は怖く
ない。あとは気合と根性の問題。

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