2020PP713 アロイ 最終レポート 長時間労働問題

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長時間労働問題

―影響と対策を中心に−

2020PP713
Naga Aloysia Laudata Wetaquensa

1. はじめに
近年、長時間労働の問題が深刻化しており、日本社会における大きな問題と
して注目されている。政府が長時間労働に注目した背景には、長時間労働によ
る過労死や、長時間労働による精神障害の労災などの社会への悪影響がある。
長時間労働問題への対応として様々な対策が実施されている。しかし、これら
の対策で長時間労働の問題が本当に解決できるかどうかについてはまだ明らか
されていない。そこで、本レポートの目的は、日本における長時間労働の現状、
理由と影響、長時間労働に対する対策、対策の問題点と今後の課題を明らかに
することである。
2. 長時間労働の現状
出典:厚生労働省

図 1.諸外国との比較日本の平均年間労働時間(2021 年)

図 1 は諸外国との比較日本の平均年間労働時間を表している。OECD 加盟国の
中で、日本の平均年間労働時間は韓国、アメリカに次で、世界第三位である。
欧州諸国、イギリス、フランス、ドイツと比較すると、日本の方が長く、1600
時間以上となっている(図 1)。

出典:厚生労働省
図 2.週 49 時間以上働いている者の割合(2021 年)

そして、図 2 が示しているように、日本で週 49 時間以上働いている人の割合


は、15.1%である。そのうち、男性の割合は 21.7%、女性は 6.9%でとなって

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いる。この数字はアメリカやヨロッパの国々と比較すると、日本の週 49 時間
以上働いている人の割合の方が高いである。

3. 長時間労働の理由
では、なぜ長時間労働になったのだろうか。次に、長時間労働の理由を表し
ている図 3 で見てみよう。
出典:BIGLOBE 調べ

図 3.長時間労働の理由

図 3 は長時間労働する理由に関する BIGLOBE 調べが行われた調査結果を示したも


のである。この調査は 2019 年に 399 人を対象に行われた。9つ理由のうち、「仕
事量と人員のバランスが合ってない」と答えた人は 53.4%(オレンジ)最も多い。
このように、長時間労働の主な理由は人員不足であると言える。

4. 長時間労働の影響
それでは、なぜ長時間労働が問題になっているのだろうか。長時間労働の中で大
きな問題は従業員の健康に与える影響であると言われているため、どのような悪影
響があるのか、2つがあり、身体的影響・過労死や精神障害であり、詳しく述べる。
以下のデータは、支給決定件数のデータに基づいたものである。支給決定は施設
支援の種類ごとに障害者に対して市町村が提供する障害者サービスの利用支援費へ
の支給であると定義されている。例えば、障害者が、健康施設のサービスを利用す
るための支援費を払うことができない場合、サービスを受けるためには、市町村に
支給申請をする必要がある。身体障害者及び精神障害者も支給申請の対象となる。

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出典:厚生労働省
図 4.脳・心臓の疾患にかかる労災や過労死の支給決定件数

まず、身体的影響には脳・心臓の疾患にかかる労災や過労死という悪影響がある。
図 4 は厚生労働省の脳・心臓の疾患にかかる労災や過労死の支給決定件数に関する
データを示している。脳・心臓の疾患にかかる労災の支給決定数(青)は平成 13 年度
(2001 年度)から平成 19 年度(2007 年度)にかけて、増加傾向にあったが、平成 20
年度(2008 年度)から令和 3 年度(2021 年度)にかけて、減少傾向にあった。しかし、
全体を見ると横ばい状態になっている(図 4)。
また、支給決定件数のうち死亡件数(オレンジ)は令和3年度には 57 件数であり、
平成 13 年度から令和3年度にまで、横ばいの状態である(図 4)。この死亡件数は過
労死であると言える。

出典:厚生労働省
図 5.精神障害疾患に係る労災の支給決定件数

次に、精神的影響について説明する。図 5 は精神障害疾患にかかる労災の支給決
定件数を表している。平成 13 年度(2001 年度)から令和 3 年度(2021 年度)まで、
精神障害に係る労災の支給決定件数が増加傾向にある。そして、令和 3 年度(2021
年度)の件数は 629 件に達している。そして、支給決定件数農地の自殺者の件数は
横ばい状態である(図 5)。

5. 長時間労働の対策
現在、日本政府は長時間労働を解決するために、様々な対策を実施している。そ
のうち、本レポートでは、3つの対策を紹介する。
1) 36 協定
長時間労働を解決するために、日本政府は働き方改革関連法という提案を挙
げ、施行している。働き方改革関連法には、残業時間の罰則付き上限規制、高
度プロフェッショナル制度、同一労働同一賃金 3 つの主なポイントが挙げられ
る。このうち、36 協定に関連している残業時間の罰則付き上限規制をとりあげ、
述べる。
改正前、労働基準法は、労働時間の上限を 1 日 8 時間、週 40 時間と定めてい
る。しかし、会社と社員の間協定を結べば上限を超えて働かせることが可能で、
無制限の残業を事実上認める規定になっていた労働基準法第 36 条の規定にも

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とづく 36(サブロク) 協定」と呼ばれるものである。改正後は、残業時間は原
則 「月 45 時間、年 360 時間まで」と決定された。
2) ノー残業デー制度
ノー残業デー制度とは、週一回、決められた曜日に必ず定時に帰る「ノー残
業デー」の設定で行われている制度である。この場合は、厚生労働書によれば、
日本において、水曜日が「ノー残業デー」として設定されている。
3) メンタルヘルス対策
長時間労働の 1 つの対策として、メンタルヘルス対策が4つのケアに分けら
れている。その中では、セルフケア、ラインによるケア、事業場内産業保健ス
タッフなどによるケア、事業場外資源によるケアが含まれている。この4つの
ケアは職場で行っているケアである。

6. 長時間労働の対策の問題点
しかし、以上の対策には問題点がある。次、対策の問題点を順に述べる。
1) 36 協定
36 協定で設定されている改正では、繁忙期などを得ない場合は、月に最
大 100 時間の残業、2〜6 か月間の月平均 30 時間、年 720 時間を限度に残業
できる例外規定も設けられた。この例外は過労死ラインであり、月 80 時間
を超えるような働き方という状態になっており、過労の問題を十分に解決
することができるとは言えない。
2) ノー残業デー制度
出典:連合総研の調査結果を基に作成

図 6.持ち帰り残業頻度

「ノー残業デー」が設定されているが、仕事を家に持ち帰える社員はま
だまだいる。図 6 は持ち帰り残業頻度に関する調査結果を表している。こ
の調査はインターネットでのアンケート形式で、2 千人の 20 歳から 64 歳ま
での会社員を対象に実施された。約 3 割の会社員は「持ち帰り残業をした
ことが常にある」と答えた。3 割は小さい割合であるが、いつも家に仕事を
持ち帰るのは、残業であり、「ノー残業デー」が設定されても、長時間労
働問題がまだ解決できないといえるだろう。
3) メンタルヘルス対策
4つのケアは会社に実施されているため、本当に実施されているのか、
正しく実施されているのか、効果があるかどうかについて明確するために、
労働基準局による定期的な確認と評価が必要になる。
確かに、自殺者を減らすために、メンタルヘルス対策が必要である。し
かし、長時間労働の大きいな問題は過労であるため、最初に過労を解決す
る必要があり、メンタルヘルス対策によって完全に解決することできない。

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以上のことから、36 協定により過労の問題を十分に解決することができないこ
と、「ノー残業デー」が設定されても、仕事を家に持ち帰える社員はまだまだいる
こと、また、メンタルヘルス対策によって過労を完全に解決することできないこと
がわかった。その上、36 協定やノー残業デーの制度及びメンタルヘルスの対策に
より、長時間労働になった主な理由「人員不足」はある程度、解決することがまだ
できていないと考えられる。

7. 今後の課題
そこで、今後の課題として、2 点を提案する。
1) 36 協定の改正
定期的チェックで働きすぎないようにしすべきであり、36 協定を変え、過労
死ラインを元に厳密に守る方法を見つける必要がある。
2) 人員と仕事量の調整
3) 長時間労働になった主な理由、人員不足を解決するために、スタッフ増員
による適切な仕事量の配分が必要である。

参考サイト

1.BIGLOBE 調べ(2019)「働き方改革着手も『長時間労働をしている』ほぼ変わらず
BIGLOBE が『働き方に関する意識調査 2019』第 2 弾を発表
~長時間労働の理由、『仕事量と人員のバランスが合っていない』5 割強~」
https://www.biglobe.co.jp/pressroom/info/2019/08/190821-1
アクセス日:2023 年 1 月 27 日

2.厚生労働省(2010)「改正労働基準法のあらまし」
https://www.mhlw.go.jp/topics/2008/12/dl/tp1216-1l-01.pdf
アクセス日:2023 年 1 月 29 日

3.厚生労働省 (2015)「労働者の心の健康の保持増進のための指針」
https://www.mhlw.go.jp/hourei/doc/kouji/K151130K0020.pdf
アクセス日:2023 年 1 月 28 日

4.厚生労働省 (2022)「労働時間やメンタルヘルス対策等の状況」『令和 4 年版過労死


等防止対策白書』https://www.mhlw.go.jp/content/11200000/001001666.pdf
アクセス日:2023 年 1 月 28 日

5 . 日 本 経 済 新 聞 ( 2017 ) 「 持 ち 帰 り 残 業 、 3 割 が 「 あ る 」 連 合 総 研 実 態 把 握 難 し
く」https://www.nikkei.com/article/DGXMZO24153160R01C17A2CR8000/
アクセス日:2023 年 1 月 29 日

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