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Summary 06 Matsuda
Summary 06 Matsuda
Summary 06 Matsuda
平成21年 4月15日現在
松田 知成(MATSUDA TOMONARI)
京都大学・工学研究科・准教授
研究の概要
DNA 付加体を網羅的に解析する手法「DNA アダクトーム解析」を用いてヒト臓器中に存
在する未知の DNA 付加体を同定し、その生物学的意義(突然変異誘発、DNA 修復機構)
を明らかにする。
研 究 分 野:複合新領域
科研費の分科・細目 :放射線・化学物質影響科学
キ ー ワ ー ド:DNA アダクトーム、DNA 付加体、突然変異、LC/MS/MS
1.研究開始当初の背景 4.これまでの成果
DNA付加体は、発がんや老化の原因である (1)ヒト臓器DNAアダクトーム解析
と考えられているがヒト組織中におけるD 共 同 研 究 者 の 協 力 を 得 て 、 ヒ ト 臓 器 DNAを
NA付加体の全容は明らかになっていない。 収集した。研究実施には所属大学の倫理委
我々は生体内のDNA付加体を網羅的に解析 員会の許可を得た。
する手法「DNAアダクトーム解析」を開発 主 要 な 臓 器 DN Aに つ い て 数 検 体 ず つ DNAア
してきた。 ダクトーム解析を行った。その結果、臓器
2.研究の目的 間で生成する付加体のパターンが大きく
生 体 内 で 普 遍 的 に 検 出 さ れ る DNA付 加
異なることが明らかになりつつある。また、
体について、その化学構造を明らかにし、
主要な付加体ピークについて、付加体の同
そ の 突 然 変 異 誘 発 能 及 び DNA修 復 メ カ
定を進めている。その結果脂質過酸化反応
ニズムについても明らかにする。
によって生成する4-oxo-2-nonenalや4-
3.研究の方法
oxo-2-hexenal由 来 の DNA付 加 体 が 普 遍 的
ヒト組織DNAのアダクトーム解析を行い、
に存在することが明らかになった。特に4-
主要なピークの同定を様々な角度から試み
oxo-2-hexenal由 来 の DNA付 加 体 は 産 業 医
る。また、重要なDNA付加体について、突
大 の 葛 西 教 授 ら が 発 見 し た 新 規 の DNA付 加
然変異誘発能、DNA修復経路を解明する。
体であり、今回の共同研究により、ヒト臓
器中での存在が初めて明らかになった。ま
た、これら付加体を含めた、過酸化脂質由
来 DNA損 傷 20成 分 の 同 時 分 析 法 を 開 発 し 、
約 100検 体 の ヒ ト 臓 器 DN Aで 精 密 な 定 量 を
行 い 、 ヒ ト 臓 器 に お け る DNA損 傷 の 実 態 の
一端を解明した。
〔4.これまでの成果(続き)〕 5.今後の計画
引 き 続 き 未 知 DNA付 加 体 の 構 造 解 析 を 行 う
と 共 に 、 DNA付 加 体 に 特 異 的 に 結 合 す る タ
ンパク質をプロテオーム技術を用いて解
析する予定である。
6.これまでの発表論文等(受賞等も含む)
(研究代表者は太字、研究分担者は二重下線、
連携研究者は一重下線)