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大吉嶺夏摘紅茶香氣成分特徵分析及其對神經活動的影響
大吉嶺夏摘紅茶香氣成分特徵分析及其對神經活動的影響
― 研究論文 ―
ダージリン紅茶セカンドフラッシュに特徴的な
香気成分の解析と自律神経活動に及ぼす効果
大野 敦子1*,鈴木 萌人1,矢田 幸博2
1
三井農林株式会社 R&D 本部 〒426-0133 静岡県藤枝市宮原 223-1
2
筑波大学大学院人間総合科学学術院 グローバル教育院 ヒューマンバイオロジー学位プログラム
〒305-8577 茨城県つくば市天王台 1-1-1
紅茶の香りが自律神経活動に及ぼす効果について検討した結果,ダージリン紅茶セカンドフラッシュの香
り吸入後に縮瞳率および指尖皮膚温は有意に上昇した.その効果は,アッサム紅茶とウバ紅茶の香りの効果
より大きかったことから,交感神経活動を抑制し,副交感神経活動を優位にする鎮静作用が高いことが示唆
された.香気成分分析によりダージリン紅茶セカンドフラッシュに特徴的な香気成分;ゲラニオール,ホト
リエノール,2,5-ジメチル-4-ヒドロキシ-3(2H)-フラノン,2-フェニルエチルアルコールを選定し,紅茶飲
用時の規定濃度でそれぞれ吸入した結果,ホトリエノールのみが縮瞳率を有意に上昇させた.濃度依存性を
検討した結果,ホトリエノールは 5 ppm 以下の低濃度において縮瞳率は有意に上昇した.さらに,ホトリ
エノール 50 ppm 吸入後に縮瞳率ばかりでなく,指尖皮膚温も有意に上昇したことから,ホトリエノールは
ダージリン紅茶セカンドフラッシュと同様の鎮静作用を有することが示された.以上の結果から,ホトリエ
ノールはダージリン紅茶セカンドフラッシュの香りによる鎮静作用の発現に寄与する最も重要な成分である
ことが示唆された.
ヒドロキシ -3
(2H)
-フラノン(以後 DMHF と略記する)
1. 緒言
が,メイラード反応由来の香りの鎮静作用を担うことが
食品は,その栄養学的な機能ばかりでなく,抗コレ 示唆されている12)~14).DMHF は SFDJ の香りに含まれ
ステロール1),体脂肪低減2),腸内環境改善3)などの健康 ることから15),このような成分が SFDJ の香りの鎮静作
機能の面からも注目されている.近年では,食品由来の 用の発現に関与している可能性が考えられる.また,精
香りが心身の健康に寄与するものとして,リラックス効 油の香りの鎮静作用を担う香気成分として報告されるリ
4),5) 6), 7) 8), 9)
果 ,抗ストレス効果 ,ダイエット効果 など, ナロール17)~19)やゲラニオール20)は紅茶の主要な香気成
香りの効果効能への関心が高まっている.著者らも,ダー 分であることから,これらの香気成分が SFDJ の香りの
ジリン紅茶セカンドフラッシュ(以後 SFDJ と略記する) 有効性に関与していることは想像に難くない.しかしな
の香りが,心理生理的なリラックス効果10) や睡眠改善 がら,紅茶の香りから 600 種類以上もの香気成分が同定
11)
効果 をもたらすことを報告している.これらの生理 されていることからも16),紅茶の香りのプロファイルは
的な効果の発現は,自律神経活動に対して SFDJ の香り 複雑であるといえ,有効性に関与する香気成分はいまだ
が交感神経活動を抑制し,副交感神経活動を優位にする 明らかになっていない.
鎮静的な作用によるものと考察している10),11).アッサム そこで,本研究では,SFDJ の香りの鎮静作用に関与
紅茶(以後 AS と略記する),ウバ紅茶(以後 UV と略 する香気成分を探索し,SFDJ に特徴的な香気成分が自
記する),アールグレイ紅茶に比べて,SFDJ の香りは 律神経活動に及ぼす効果を検証した.その結果,SFDJ
香りに対する嗜好性が高いだけでなく,心理生理的なリ に特有の香気成分;ホトリエノールが,既報の香気成分
ラックス効果が高いことが示唆されている10).さらに, のゲラニオールや DMHF 以上に,低濃度にて鎮静作用
香りに対する嗜好性および心理的な効果と生理的なリ を発現することが認められ,SFDJ の香りの鎮静作用に
ラックス効果に関連性が認められないことから,SFDJ 重要な成分であることが示唆されたので報告する.
の香り特有の成分が生理的な効果に関与する可能性が推
2. 方法と材料
察されている10).香気成分単体の有効性については,こ
れまでにメイラード反応で生成される香りが含有する香 2.
1 試験概要
気成分;2,3-ジメチルピラジンおよび 2,5-ジメチル-4- 本研究は,試験Ⅰ(紅茶の香りの生理学的評価),試
*
Corresponding author : E-mail a.ohno@mitsui-norin.co.jp
J. Japan Association on Odor Environment Vol. 53 No. 1 2022 51
表−1 3 種類の紅茶の香りとコントロール品吸入後の縮瞳率
表−2 3 種類の紅茶の香りとコントロール品吸入後の指尖皮膚温
データは平均値±SEM を示す(n=18)
.** は p<0.01 を示す(対応のある t 検定).
図−1 3 種類の紅茶の香りによる自律神経活動に及ぼす作用
(a)ΔCR,(b)ΔFT(℃).データは平均値±SEM を示す(n=18).†は p<0.10,* は
p<0.05,** は p<0.01,*** は p<0.001 を示す(Fisherʼs LSD 法による多重比較検定).
3.5 試験Ⅴ:ホトリエノールが自律神経活動に及ぼす
作用
ホトリエノールとコントロール品の吸入後の CR を比
(a)に示した.コントロール品
較した結果を図−5− (0.36
±0.01)に比べてホトリエノール吸入後(0.39±0.01)に
単位:ppb,tr:定量限界以下 CR は有意に高値を示した(p=0.007).
表−4 SFDJ主要香気成分とコントロール品吸入後の縮瞳率比較
表−5 5段階濃度のDMHFの香り強度スコアと縮瞳率
表−6 5段階濃度のホトリエノールの香り強度スコアと縮瞳率
図−5 ホトリエノールが自律神経活動に及ぼす作用
(a)CR,(b)FT.データは平均値±SEM を示す(n=20)
.*** は p<0.001 を示す(対応
のある t 検定).
1
Functional Development Team, R&D Unit, Mitsui Norin Co. Ltd., Fujieda, Shizuoka 426-0133, Japan
2
School of Integrative and Global Majors PhD Program in Human Biology,
University of Tsukuba, Tsukuba, Ibaraki 304-8577, Japan
Abstract Inhalation of the aroma of second flush Darjeeling tea elevated peripheral skin temperature
and miosis rate more significantly compared to inhalation of Assam tea and Uva tea aromas, suggesting
that Darjeeling tea has a strong sedative effect due to inhibition of sympathetic nerve activity corre-
spondingly making parasympathetic nerve activity dominant. On the supposition that aroma components
specific to Darjeeling tea were contributing to the overall sedative effect, analysis of the aroma compo-
nents was performed and the characteristic aroma compounds, Geraniol, Hotrienol, 2,5-Dimethyl-4-
hydroxy-3(2H)-furanone, 2-Phenylethyl alcohol were identified and selected. When each of these four
aroma compounds was inhaled at equivalent concentrations while drinking tea, only Hotrienol showed a
significant increase in miosis rate. Further, we studied the dose-dependency and found there was a
significant increase in miosis rate with a low Hotrienol concentration of not more than 5ppm. Peripheral
skin temperature also increased after inhalation of Hotrienol. Collectively, these findings indicate that
Hotrienol is the most important compound contributing to the sedative effect of second flush Darjeeling
tea aroma.
Key words : Hotrienol, second flush Darjeeling tea, aroma components, autonomic nervous system
activity, sedative effect
(受稿 令和 3 年 11 月 9 日)
(受理 令和 3 年 12 月 6 日)