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migration of the inhabitants in the disaster hazard area in Ogatsu town
migration of the inhabitants in the disaster hazard area in Ogatsu town
実態
誌名 ランドスケープ研究
ISSN 13408984
著者名 荒木,笙子
秋田,典子
発行元 日本造園学会
巻/号 82巻5号
掲載ページ p. 611-616
発行年月 2019年3月
農林水産省 農林水産技術会議事務局筑波産学連携支援センター
Tsukuba Business-Academia Cooperation Support Center, Agriculture, Forestry and Fisheries Research Council
Secretariat
荒木笙子* 秋田典子*
ShokoARAKI NorikoAKITA
Abstra
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キーワード:東日本大震災,津波被災地,災害危険区域,居住地移動,石巻市雄勝町
1 研究の背景と目的 可住地害拾の関係を数値に基づき分析し,地域ごとの特性を比較
2
011年 3月 1
1日,東日本大震災が発生した。東北地方の沿岸 した研究も存在する。その結果リアス式t
髄多で可住地割合の低い
地域では青森県から千葉県までの 6県において, 5
6,l
OOh
aが津波 三陸沿岸部は災害危険区域指定率が高く,中でも岩手県より宮城
による浸水被害を受けた匹 県北部のほうが浸水面積に対する災害危険区域の指定率が高いこ
東日本大震災の復興事業において特徴的なのが,元の居住地を とが明らかにされた見
居住系建築物の新築と増改築が禁止される災害危険区域に指定し, 震災後の住民の居住地選択については無事業で現地復興が行わ
そのうち集団移転の偲進が適当であると認められる場所を移転促 れた場所の住民の移動を追った研究がある凡面的な復興事業を
進区域に指定,別の安全な高台に集団移転するという防災集団移 行わなかった場合は,約 6
0%の住民が震災前と同じ場所に居住し
転促進事業(以下,防集事業)が数多く採用されたことである。 ており,移動した住民も内陸エリアではなく同一地区内に留まる
被害の集中した岩手・宮城•福島の 3 県において,震災前と同じ 住民が多いことが明らかにされ迄また事業を導入した場所につ
場所で再建を行う被災市街地復興土地区画整埋事業(以下,土地 いての研究は,土地区画整埋事業が住民の居住地移動に与えた影
区画整埋事業)は 6
0地区 8
20.l
haで実施されたのに対し,防集事 響を明らかにした研究がある 10)。この研究では被害の度合いにか
業は 3
30地区で 171
6.2
haで事業が実施されており,土地区画整埋 かわらず,すぐに現地再建が可能であれば約 9 0
%の住民が現地再
事業より地区数は 5 .5倍,面積は 2
.1倍である見防集事業の住 建を行い,地域外への流出がないことが明らかにされた。
宅団地の規模は 1 0戸以上,移転希望者が 20戸を超える場合は半 住民の住宅再建意向の変化については石巻市市街地部におい
数以上とされているが,東日本大震災後の特例により 5戸以上に て災害公営住宅入居登録までの住宅再建意向変化と要因を分析し
緩和された 3)。ただし,移転先の用地確保が困難である場合,用 た研究がある 1
1)。この研究では,住民への意向調査時から実際の
地取得に時間がかかるため,造成が待てずに他の場所での再建を 入居申込までに立地希望が変化していることが明らかにされてい
決める人が生じている 4)。また一方で,移転元地となった災害危 る。震災前に不便な場所に居住していた世帯は,仮設住宅で便利
険区域などの低平地と呼ばれる空間においては,具体的な土地利 な場所^移動すると移動先に本設を希望する世帯も増える一方で,
用が定まっていないケースが多く,復興事業期間終了後にも課題 時間の経過に伴い恐l
布心が和らぎ,震災前の場所へ再居住を希望
として残されることが懸念されている 5)6)。 する世帯も増える。しかし住宅の整備戸数の決定段階ではそれよ
東日本大震災後に指定された災害危険区域に関連する既往研究 り前の希望調査結果を反映するため,最終的に新市街地の整備戸
には,被災自治体における災害危険区域の指定方法を整理したも 数が多くなり,震災前居住地に再居住できる世帯が減少した。意
のがある 7)。この研究では災害危険図或の持つ意義には「将来的 向調査の結果だけではなく, 自力再建が困難な層や自身で決定で
な自然災害リスクの軽減」と「被災者支援」があり,多くの自治 きない層を想定する必要性が明らかにされた。
体では被害状況や住民意向,地形的・時期的制約から区域指定を 以上より,これまで災害危険区域の指定経緯や自治体単位の地
行なっていること,区域基準・浸水深基準・ゾーン基準の 3つの 域特性の傾向,現地復興が行われた地域や土地区画整埋事業が行
基準の組み合わせでリスク軽減と被災者支援の両立を図っている われた場所における居住地移動を追った研究,住民の住宅再建意
ことを明らかにしているほか,低密市街地形成の問題が深刻化す 向の変化についての研究はあるが,災害危険区域内に従前の居住
る可能性を示唆している。また災害危険区域の指定と被害度合い, 地がある世帯の居住地移動の実態を特定の地域に着目し明らかに
*千葉大学大哨浣園芸学研究科
ランドスケープ研究 82(
5)
, 2019 6
11
`
6
した研究はない。
>
本研究では東日本大震災後町の中心部全体が災害危険区域に
指定された石巻市半島エリアの雄勝町に着目し,災害危険区域内
住民がどのように居住地移動を行なったのか,仮設と最終的な居
住地の地区別戸数や位置世帯人数等の分析を行いながら明らか
にすることを目的とする。
2 研究の対象と方法
(1)研究の対象
本研究では宮城県石巻市の半島エリアに位置する 1 日雄勝町中心
部を対象とし,災害危険区域内居住世帯の移動動向について分析
を行う 。石巻市の市域面積は 5 5,4
58haであり,国勢調査によると エリア (201
薗爾 半塁エ リア 2015年
冒:五,
震災前 20
10年の人口は 160
,82
6人,世帯数は 5 7
,87
1,震災後 2015
年の人口は 1
世帯数は 1
,0
4
5
7,
214人,世帯数は 5 6
,81
9と,人口は 1
2減少 した濃災後の世帯分離のため入 口に対し世
帯の減少が少ない)。市内人口は 1
石巻市は 20
0
9
85年をヒ°
ークに減少している。
5年に旧石巻市に闘妾する桃生郡桃生町,河北町,
3
,61
2人,
_ ら 1
0km
疇町,北上町,国飼,釦麒珀鹿町と針井し,現在の市域と 図ー 2石巻市内の位置図
なった。本論文では,旧市町単位をそれぞれ,旧石巻市を本庁地 所 ・出張所が設けられ,合併前の地域性が強く残っているため,
区,旧河北町を河北地区旧河南町を河南地区旧北上町を北上 日市町単位を基にした地区単位で復興事業む佳めている。
1
地区旧雄勝町を雄勝地区,旧牡鹿郡牡鹿町を牡鹿地区として扱 囮ー 2に各地区の位置圏と 20
10年と比較した 2
015年時点の人
う。図ー 1には合併後の 2 0
05年から 20
15年までの各地区の人口 ロ増減率を円グラフで示す l6。
) この結果市街地エリア,半島工
変動を示す 12)。特に震災前 20
10年から震災後 2
015年までの人口 リア,内陸エリアで震災後の人口増減率に異なる傾向が見られた
増減率を見ると ,雄勝地区が最も減少している。 ことから,以降の分析ではエリア別の傾向を踏まえながら旧市町
(2)研究の方法 別の考察を行う こととした。市街地エリアは本庁地区のみが該当
2
012年より石巻市雄勝地区における参与観察を続け,災害危険 し,市役所の本庁舎や主要駅の石巻駅を有し,市の中心的な役割
区域における土地利用の現地調査を継続的に行なってきた。201
5 を担っている。直接浸水被害を受け,人口は 10
.7跡或少した。半
年より石巻市雄勝総合支所と,低平地の活用などについての意見 島エリアは北上地区,河北地区,雄勝地区牡鹿地区の 4地区で
交換やヒアリングを年間 1
0回程度継続している。本研究では,石 ある。いずれも津波により大きな被害を受け, 201
1年 3月の津波
巻市雄勝総合支所との連携協定 13)に基づき,石巻市雄勝総合支所 浸水区域の全域が災害危険区域に指定された)人口は大幅に減少
が雄勝地区の住民の居住地移動について記録した調査データの提 しており,特に雄勝地区では 63
.9%の人口が減少した。雄勝地区
供を受け,分析を行った。また文献調査と,地図上での解析を行 は合併以前の行政区域単位において,全被災自治体中,震災前後
うために津波浸水区域や災害危険区域等のデータを元に G
ISを用 で最も人口が減少した場所である。内陸エリアは桃生地区と河南
いた分析を行なった。 地区の 2地区である。津波による被害はほとんどなく,河南地区
では市内で唯一人口が増加した。
3 石巻市における復興事業 (2)土地利用に関する復興事業と区域指定
(1) 石巻市の都市計画の概要と被災状況 石巻市は人口が多く建築主事を置いているため,市の権限で建
石巻市の本庁地区河南地区,胴妾する東松島市と女川町の一 築制限の指定が可能である。石巻市は震災直後の 2
011年 4月から
部は石巻広域都市計画区域に指定されており, 1 97
0年に線引きが 建築基準法第 8
4条による建築制限を行い, 5月から特例により本
行われた。都 市 計 画 区 域 は 本 庁 地 区 と 河 南 地 区 河 北 地 区 の 庁地区の一部や雄勝地区の中心部にて建築制限を行った)9 月に
14
,51
3haが指定されており,市域面積の 2 6.
2%にあたる。市街化 石巻市は全被災自治体の中で最も早く,本庁地区の建築制限区域
区域は本庁地区と河南地区の 3 ,315.9ha(市域面積の 6 .0
%),市街 を被災市街地復興推進地域に移行した。
化疇区域は同様に本市也区と河南地区の 9 ,6
89.
lha (市域面積 2
012年 1
2月には,建築基準法第 3
9条に基づく災害危険区域の
の17
.5%
)が指定されている 14)。雄勝地区と牡鹿地区はいずれも 区域指定が市街地エリアと半島エリアそれぞれで行われた。具体
1
940年ごろから都市計画区域に指定されていたが,開発等が見込 的な基準は条例に定められており,居住系建築物,宿泊施設病
めなかったことから,合併前の 2
002年にいずれの都市計画区域も 院,児童福祉施設等の新築と建替え,増改築を禁止している。災
廃止され,東日本大震災の発災時は都市計画区域外であった。 害危険区域は一度指定されると,原則として解除できない。
石巻市は津波による浸水面積が全被災自治体中最大であった。 石巻市では市街地エリアと半島エリアにおいて災害危険区域の
市域面積の約 1 3
.1%
,7,
300
haが浸水し,3
,75
0人の死者が発生し 指定基準が異なる。市街地エリアは二線堤の機能を有する防災施
た 15)。石巻市では旧市町単位で最低 1箇所ずつ市役所の本庁や支 設の整備により,シミュレーション上津波による市街地エリアの
0 2
0,0
00 4
0,0
00 6
0,0
00 8
0,0
00 1
00,
000 1
20,
000 1
400
、00 1
60,
0001
80,
000 浸水を防ぐことができると判断されたため,防災施設から海側を
(人1
区域に定めた)
2005年 ―| .,•員 [I
一方で半島エリアでは, 2
011年 3月の津波浸水区域全域を対象
11 !I
I/
/
lI:鳳l 9 として区域が指定された。松本ら ( 20
15)は半島エリアの災害危険
2010年
-
/
/
,
/
,
'
区域指定について「小規模な漁業集落が多く,低平地一帯が壊滅
’'-
2015年
- /
l,! 欄l
1
的な被害を受けて今後宅地を整備できるような土地がなく,集落
全体で移転する傾向が強いため,このような指定に至っ t
;
:
,,(中略)
■本庁 口河北 口河南 口桃生 口牡鹿 口北上 ・雄勝
図ー 1石巻市の人口変動 指定についての課題は特段生じていない。」と述べている。
61
2 J
」ILA82(5), 2019
表ー 1に各地区における浸水区域と災害危険区域の指定面積と 表ー 1石巻市各地区の浸水区域と災害危険区域指定状況
地区面積 没水 区域 災害危険 災害危険 区域 災害危険 区域
疇世隷を就翫区域譴は宮城県認麟表資料,災害 区分 地区
(
ha) (h
a) 区域(
ha) /浸水区 域
(%) 対象世帯数
危 険 区 域 面 責 と 疇 麟 数 は 膨 噺 聞 よ り そ れ ぞ れ 引 用 し た 17)0 市街地エリア 本 庁 1
3 ,
704.
0 39600 421.
0 106% 3,
911
牡鹿 12,
509.
0 2270 219.
0 965 % 705
シミュレーションを根拠として区域が指定された市街地エリアで 雄勝 4,612
.0 1520 152.
0 1
0 0
.0% 1,
142
半 島エリア
は,浸水区域の 10.6%が災害危険区域に指定された。一方 2011年 北上 6,
9330 974.
0 3520 3 61% 491
河北 4,382.
0 19420 552.
0 284% 328
3月の津波浸水区域全域が指定の対象となった半島エリアでは,
゜
河南 6,
098.
0 4460 00 00%
内陸エリア
浸水区域の 38.7
%が災害危険区域に指定された。 中でも海に面す
゜
桃生 7,
298
.0 00 00
市街地エリア計 1
3 ,
704.
0 3,
9600 421.
0 106% 3,
9
11
る面積の大きい牡鹿地区は 96.5%,雄勝地区は 100.0%といずれも
半 島エリア計 2
8 ,
436.
0 3
.2
.950 1
,275.
0 387% 2,
666
ほぼ全域が指定された。
゜
内陸エリア計 13
,396.
0 4460 0.
0 00%
合計 5
5,536.
0 7,
7010 1
,696.
0 220% 6,
577
(3) 居住に関する事業
表ー2 各地区の応急仮設住宅着工件数
1) 計画に位置付けられた方針 2018年 9 ヨ1日時点
石巻市は 2011年 12月に石巻市震災復興基本計画を策定した。 区分 地区 団地数 着工戸数 現戸勃 入居戸訥
計画の中の 「 都市基盤の復旧 ・復興を推進するための主な施策」 市街地エリア 1本 庁 73 4174 2881 168
,
゜
吐十声 18 445 160
の中では,市街地エリアは土地区画整理事業と市街地再開発事業 1 坪碑 8 161 112
半島エリア
半島エリアは防災集団移転促進事業を導入することを示している。 廿上
,
゜
1
3 234 56
河北 847 847 126
地区別整備方針では,市街地エリアは多重防御による災害に強い
河南 19 961 702 21
まちづくりを行うこと ,半島エリアはいずれの地区についても既 内陸エリア H
,庄 A 111 rCA
1
存の観光施設や自然環境を活かしてにぎわいの創出を図ることが 市街地エリア計 73 4,174 2,
881 168
゜
゜ ゜
゜ ゜
゜゜
河南 2 60
内陸エリア
以降に半島エリアの各地区の仮設住宅への入居と追加の建設が進 o
l
゜゜
桃生
ん芯一方で仮設住宅への入居が待てない住民や,希望の地区に 市街地エリア計 11 73 39 11
2 6 3,
8161
半島エリア計 39 539 563 1
,10
2 42 580
入居できない住民は,希望地区以外の仮設住宅は選択せず,みな
゜ ゜ ゜゜
内 陸エ リア計 2 60
し仮設や賃貸住宅などへ移動しt ea このため仮設住宅の必要戸数 合計 5
0 61
2 602 1
,214 50 4,
4561
地の土地区画整理事業の他新しい市街地開発が行われ,大規模 疇 しt こ
な住民の受け皿としての役割を果たしている。新市街地は 6地区
122.lhaが整備され,既存市街地の住居系用途は 5地区 81.7haが 4. 雄勝地区における空間変容
整備された。 (1) 雄勝地区の概要
コミュニティ単位の住民の受け皿としては防集団地の整備があ 疇地区は半島エリアのうち人噂少率が最大で,震災前の中
る。表ー 3に地区数と戸数を示す。 50地区 1,214戸が整備され, 心市街地全域が浸水し,災害危険区域に指定された。固ー 3 に石
2018年 3月末には全地区で整備が完了した 2
3)0 巻市全域の施設分布図 25),図ー4には雄勝地区の地図を示す 26)0
区分
地区 1 災
対害
象雷t│
讐 :
二 I災
害::
ド::i
: 帯
数│は│
(
防 集 言 営 住 宅)
1
06.7%1 731 3
.85
1
513.
9
計
28
1
1 94.1
1
:言は言
I
%1 100.
4%
6
3.1%1 1381 3051 4431 99.6%1 62.
8%
1
4.1%1 981 189
1 2871 178.3%1 25.
1%
4
7.7%1 165
1 1401 3051 1
30.3%1 62.1
%
2
58.2%1 1381 5091 6471 76.4%I 197.3
%
内
01 601 6 01 6
.2%
0
1 01 01 0
.0%
1
06.
7%1 731 3
.85513.
9281 94.1%
1 1
00.
4%
63.
3%1 5391 1
.143
1 1.6
821 99.7%1 63.1
%
0
1 601 601 4. 6%
108.
8%I 6121 5
.05815.
670I 79.3%I 8
6.2%
洋 校 が 4校,中学校が 2校 存 在 し に こ の
震災前地区内にはI」
うち中心部に位置していた雄勝小学校と雄勝中学校は津波により
両校とも体育館が流出,校舎は水没に近い被害を受けた。半島北
部に位置していた船越小学校は 3階まで浸水した。大須小学校と
中学校は津波による被害はなく,避難所としての役割を果たし,
その後 2017年度に閉校するまでに教育活動を継続でき t;
::
,
,しかし
囀和」学 校 と中勃とは河芯也区の祖交に間昔りして 2011年 4月か
ら再開し,統合小中学校の新設開校は 2017年であった 28)。 この
期間は河北地区の学校への通学が必要となったため,子育て世帯
の被災者は仮設期の居住場所として雄勝地区内の仮設住宅ではな
く,河北地区か市街地エリアむ劉沢した可能性が高い 29)0
新たな統合小中学校は中心部からやや離れた場所に立地してい
る。地区内には公共交通機関が存在しないため,通学にはスクー
ルバスまたは自家用車による移動が必要となる。
浸水区域 2) 公共施設
亡]災害危険区域
◎市細
地区で唯一の行政機関である雄勝総合支所は,津波により 3階
〇 市 街 妍・出張所 の高さまで水没しt;
:
:
,
,職員は全員屋上へ避難して無事であったた
.口現存する小学校・中学校
:口 新設小中学校 め,地震発生から 2日後には直線距離で約 2 km内陸に位置するク
—
●防集団地
リーンセンターにその機能を移した 30)。クリ ーンセンターは震災
ぶ病院
:
0 5 10km ~ の影響でゴミの収集が停止しており,建物自体は使用可能であっ
ヽ
た。 このように,雄勝地区内においても仮に使える土地や施設は
一
全くないわけではなかっ t
;
:
:,
, その後現在の統合小中学校の場所に
言
図ー3石巻市施設分布図 位置していた在宅介護支援センターを仮庁舎として使用した後
し
J
域
建設工事が開始予定である。
また地区内には石巻市立雄勝病院が雄勝湾のほとりに位置して
いた。病院は津波により 3階建ての建物全てが水没入院患者 40
人全員と職員 30人中 24人が死亡または行方不明となった 32
)。震
災後病院ぱ復旧せず,現在でも地区内に病院は存在しない。診
療所と歯科診療所が 1箇所ずつ統合小中学校の向かいで仮設建物
にて営業している。ただし診療所の診療科目は内科,外科整形
心
み
外診療の受付は行われていない 33)。なお地区内に調剤薬局はない。
i﹁
3) 商業施設
g
設商店街として震災前に地区内で営業していた店舗や,地区内に
居住していた住民の新規店舗など 11 店舗がオープンした。2016
図ー4雄勝地区中心部の震災後の様子 年 6月に復巽事業に伴い仮移転し,1 0店舗が移転, 1店舗は隣地
疇 地 区 の 疇 は 139人,住宅被害は全壊 1,348棟であった 27)。 で独自に店を構えた 34)。 しかし今後はさらに高台移転地への再度
雄勝地区中心部には,雄勝総合支所(旧町役場)や公立小中学 の移動を余儀なくされるため,本設までにかかる金銭的 ・精神的
校病院,郵便局銀行の支店等行政機能やサービス機能が集 負担や高齢化により閉店した店舗や,市街地エリアヘと移転した
積していt~ ま tdi:.棚券地区には 13 の漁港と,これに付随する漁村 店舗も存在する。
集落があるが,特に行政機能などが集積していた中心部が壊滅的 また 2013年 4月に旧雄勝総合支所の近くに開店 したコミュニテ
な被害を受けた。 ィスペースとカフェと併設したオーリンクハウスは地域住民が集
(2) 主要施設の立地状況 まる場として重要な役割を果たしたが, 2018年 3月に復興事業に
1) 小中学校 よる県道整備に伴い,閉館,解体された。
614 J
」│L
A82
(5)
, 2019
n
「
//[
/:
誕ぞ
震災前居住地 雄勝地区旧中心部 I618
1
冨
こ│l
仮設住宅
│
(施設入居I 死
亡)1
閃な
し)は醗宅等)
但厚]
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ミ
合
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49
-で-‘
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再建と`三石ニ疇:乙芦-
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5 居住対象世帯の分析
1
図ー 5雄勝町旧中心部に居住していた住民の移動
゜
0
00% 1
1゜
゜
4 1
27人
0
0.
0%
00.1
やヒアリング調査を実施し,指定地域と未指定地域における住民
の 居 住 地 選 択 の 動 向 を 明 ら か に し て い き た い。
地区別の再建方法 謝辞:本研究では、石巻市雄勝総合支所に多大なるご協力をいただ
市外
再建方法 雄勝地区
0.
0%
河北地区
2
9 203 % 8
本庁地区
2 5
36% 1
14 10
0.0
% きまし t
e
e記 し て 御 礼 申 し 上 げ ま す 。
゜
自力再建
2
4 168% 17 1
11% 00% 補注及び引用文献
゜
防集団地(自力) 1
7 425%
0.0
%
゜
2
3 575% 9
0 629% 00%
゜ ゜
防集団地(公営) l
)国土地哩浣 ( 2011.4.
18),瀬皮による浸7 渇碑の面積(棚昭向について(第 5報 )
00 % 0.0
%
゜
0.
0% 54 3
5.3
%
゜
復興公営住宅 2
)岩手県 ・宮城県・福島県各市町村 H Pより筆者算出3 なおデータは 2 01
7年時点3
計 4
0 1
00.
0% 14
3 100
0% 1
53 10
0.0
% 1
14 10
0.0
% 3
)国土交通省,東日本大震災の被災地で行われる防災集団移転距但事業
表 ー7 雄 勝 地 区 に 再 建 し た 住 民 の 再 建 方 法 4
)朝日新聞 ( 201
6.3.1 8
), (復興へ 震災 6年目: 1 ) 防災集団移転応也事業かかる時間,
かさむ支血岩手県
世帯人数 自力再建 防集団地(自力 ) 防集団地( 公営) 5
)朝日新聞 ( 201
7.1 0
.27),移転後活用, 1 00ヘクタール快まらず防災集団移転土地点
1人 00% 3 1
76% 7 3
0.4%
2人
3人 ゜
゜
00%
00%
5
3
2
9
1
.4%
76%
10
4
4
35%
1
7 .
4.
1
6
在が壁/
)復興庁 (
宮城県
2015
),防集移転元地の活用に関する事例集
゜
7
)木公本英里姥浦麟 ( 20
15),東日本大鄭後の災害伺険図成の指定に関する研究都市
4人 00% 2 1
18% 1 43%
゜
計裔噂,5 0(3)
,1 27
3-1280
5人 0.0% 2 1
18% 1 43%
゜
8
)荒木裕子 ・北後明彦 ( 20
14),東日本大震災の津波浸水地における災害危険図或の指定
6人 0.0% 1 59% 00%
゜ ゜
と人的被害・住家被害及び可住地割合の関塵分析,神戸大‘ツ洋院工学研究科・シス
7人 0.0% 1 599 00% テム情報学研究科紀要 6 ,2 4-3
1
゜ ゜
し
0
.0% 17 1000% 23 1000% 9
)荒木笙子・秋田典子 ( 20
16),千葉県旭市の津波被災地を対象とした現地復興の実態に
゜
計
関する研究ランドスケープ研究 7 9(5
),6 11-61
6
表 ー8 河 北 地 区 に 再 建 し た 住 民 の 再 建 方 法
1
0)荒木笙子・秋田典子 ( 2
017),津波被災地において復興土即 I x.一幽弊埋事菜力5 住民の居
世帯人数 自力再建 防集団地(自力) 防集団地( 公営) 住地選択に与えた影聡岩手県釜石市 A地区を事例として,都市計画論文集
3 1 03% 00% 18 200%
゜
1人 5
2(3),1088-1093
2人 11 3 79% 5 208% 39 433% 1
1)佃恕也 ( 2017),災害公営住宅入居登録者の登録までの住宅再建意向変化とその要因,
3人 4 1 38% 5 208% 19 211怜 日本建築学会計恒深論文集, 8 2(7
31),1-9
4人 3 1 03% 5 208% 8 89% 1
2)1908年から 2 015年までの国勢調査データを基に作成
5人 3 1 03% 5 208% 3 33% 13)2
016年 1 2月,石巻市雄勝総合支所と千葉大学人消完園芸学研究科は,東日本大震
3.
4% 2 83% 0.
0% 災からの復興に関する研究施策,記録の侑戎等を通じた地域社会の復興に寄与する
゜
6人 1
7人 3 1 03% 2 83% 2 22% ための連携・協力に関する協定書を締結しt ;:
.
.
8人 00% 00% 1 11% 1
4)石巻市建設部都市計画課乎戎 2 9年度石巻の都市計画演料)
9人
計 2
1
゜ 34%
9 1000% 2 ゜
゜
00%
4 1000% 9
゜
00%
0 1000%
1
5
1
6
1
7
)消防庁 (
)読売新聞 2
2018年 9月 7日),東北地方太平洋沖地震⑭m本大猿災)について儒 1
)国士数値情報,地理浣咽図,国勢調査より作成
012.12.02,石巻市が災害勉倹図痴旨定,宮城県土木部, 2 0
12.3
58報
, 東日本
)
建 が 20.3
% で あ っ た 。 本 庁 地 区 で は 自 力 再 建 が 53.6
%と約半数であ 這 災 l争 噂 嘩 ( み や ぎqき既治資本再生 ・復興の歩み),全国都道府県市四汀
村別面積調※なお各地区面積は合併当時の値を使用したため,合計値が現在の市域
り , 防 集 団 地 以 外 の 復 興 住 宅 へ の 入 居 も み ら れ た。 市 外 に つ い て
面積と若干異なる。
は 100%自 力 再 建 で あ る 。 18
)石巻市, 2 011年 1 2月,石巻市震災復興基本計画
19
)読売新聞, 2 011年 5月 1 0日,仮設住宅需要 lヵ戸減
世 帯 人 数 と 再 建 方 法 の 関 係 に つ い て , 表 ー 7に 雄 勝 地 区 , 表 ー 8
2
0)読売新聞, 2 011年 5月 1 0日,牡鹿半島に仮設住宅建設石巻市が出捌脚勘反へ=宮
に河北地区の値を示す。雄勝地区は世帯人数が多い世帯が防集団 城
2
1)石巻市ホームページ,仮設住宅関係のお知らせを元に筆者作成
地にて自力再建を行ったつ一方河北地区では人数によらず再建方 <http:/匹 w. c
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omaki.lg
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nt/10401
200/762
5/7625
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>
法にばらつきがみられ,より多様な選択ができたことがわかる。 更新日: 2 018.09.03, 閲覧日; 2 018.9
.1 6
2
2)宮城県第 1回みやぎ瑯成復輿支援笛義(石巻)(2 014年 9月 10日)資料,地甜註却三
体の康災復興まちづくり
6 まとめ・考察 2
3)石巻市ホームページ,石巻市の主な復興事業のスケジュール ( 2018年 8月 1日現釦
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nt/!0181
000/
8235
/0001
/20140
93016
1952
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宮城県石巻市の半島エリアでは,浸水区域を元にした災害危険 を元に筆者作成更新日: 2 018
.9.10,閲覧日: 2 018.
9.16
区域の指定がなされ,特に雄勝地区では浸水区域の全域が災害危 2
4)石巻市ホームページ,石巻市の主な復興事業のスケジュール ( 2018年 8月 1日現在)
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201409
3016
1952
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険区域に指定された。震災前のまちの中心部全てが居住不可能な 更新日 : 2018
.9. 10,閲覧日: 2018.9.16,石巻市,石巻市災害復腺住宅要求計画 ~2018
年 3月改定,宮城県ホームページ,災害公営住宅の整備計画について ( 2
018年 8月
空間となり,中心部に居住していた 6
18世 帯 の う ち , 移 動 を 余 儀
3
1日現在),更新日: 2 018.9
.11, 閲覧日: 2 0
18.9.16
な く さ れ た 住 民 が 541世 帯 87.5
%を占めていた。 <ht
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www.pref
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25
)地理浣咆図をベースに,国土数値情報より市域データ,市区町村役場データ,復興支
雄 勝 地 区 の 人 口 は 震 災 前 2010年 時 点 で 市 全 体 の 2.5
%であり,
諏麟アーカイプより翫尊データ,石巻市蘭斗をもとに災害危険図成を使用し,
2.3
%の北上地区や2
.7% の 牡 鹿 地 区 と 同 程 度 を 占 め て い た 。 し か し さらに G o
o gleM a
psや宮城県ホームページ等を元に施設をプロットしてイ伸戎しt ;
:
..
26
)地理浣地図をベースに,国士数値情報より市域データ,市区町付役場データ, . )
l,
K:
5伽
仮 設 住 宅 着 工 戸 数 は 市 全 体 の 134団 地 7,153戸 の う ち , 北 上 地 区
メッシュ(標高) 2 014年 8月 1日発行(承認番号平戎 2 6情複より等高線データ,復興
3団 地 234戸 , 牡 鹿 地 区 1
8団 地 445戸 で あ る 一 方 , 雄 勝 地 区 は 8 支援調査アーカイプより浸水図或データを使用し,さらに G o
og l
eM apsや宮城県ホー
ムページ等を元に施設をプロットして作成しt ;:
.
.
団 地 161戸 と 最 も 少 な く , 場 所 の 選 定 等 に も 時 間 が か か っ た た め ,
27
)石巻市 ( 2011年 1 2月),石巻市渡災復輿基本計画
同地区内住民を十分に受け入れることができなかった。仮設期の 28
)石巻市教育委員会 ( 201
2),石巻市立学校施設災害復旧整備計画
29
)朝日新聞 ( 2011年 4月 2 9日 , (消失した街の助形: 5
) ) 旧雄勝町< 宮城県石巻市〉
段 階 で 雄 勝 地 区 の 住 民 は 多 い 順 に 河 北 地 区 に 122世 帯 本 庁 地 区 3)齋藤泰 (
0 20
13),東日本大震災における石巻市雄勝総合支所の対応,消防科学と情
に 94世 帯 が 移 動 , 雄 勝 地 区 に は 64世 帯 が 居 住 し t
e
o 報1 13,60-64
31) 重川希志依 • 田中聡 (2013) 市町村合併が災害対応にもたらした影審分析—東日本大裳
最 終 的 な 本 設 先 は 多 い 順 に , 河 北 地 区 145世 帯 本 庁 地 区 136 災時の石巻市を事例として—,地域安全学会梗既集, 32, 1 13 -1
16
世帯,市外 1
14世 帯 , そ し て 雄 勝 地 区 は 70世 帯 で あ っ た 。 仮 設 期 32) 河北新報 (2013 年 1 月 3 日),第 1 部•あの日何が … (1) 石巻市雄勝病浣/迫る海,
まさか屋上まで
を 雄 勝 地 区 で 過 ご し た 世 帯 の う ち 47 世 帯 が 継 続 し て 雄 勝 地 区 に 33)石巻市ホームページ,市立診療所,更新日 : 20
18.
9.2
0, 閲覧日; 20
18.
9.2
2
居住, 17世 帯 が 雄 勝 地 区 外 へ 移 動 し た 。 他 地 区 か ら は 23世 帯 が <
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3
4)石巻かほく ( 20
16年 5月 1
1日),おがつ店こ屋街,新仮設へ県道工事に伴い移転
疇地区遵動し t
e
oしたがって,雄勝地区中心部に居住してい 3
5)国土交通省東北地方整備局 ( 2
017
.11
.22),平成 2 9年度モデル「道の駅」(地記だ
た住民6
18世 帯 の う ち , 雄 勝 地 区 へ 再 居 住 し た 世 帯 は , 仮 設 期 に 通拠点部門)の認定について
616 」
JILA8
2(5
), 2019