水坤 地元管工事業協同組合との

JV による水道料金等収納業務
寄稿 株式会社 NJS ／東部支社／札幌事務所／所長 蒲谷靖彦

■１．はじめに ■２．主な業務内容

1990 年４月の入社以来、東京→札幌→静岡→東 本業務の主な内容は図－１のとおりであり、こ

京と勤務し、2015年４月より２度目の札幌事務所 れまで別々であった料金と収納の担当をひとつに
赴任となりました。１回目の札幌勤務は概ね15年 まとめるなどして、全体を約50名の体制にて実施
前の2000年４月〜2002年９月の２年半でした。当 しています。受託期間は2015年４月１日〜2020年
社は2015年４月に社名を日本上下水道設計株式会 ３月 31 日となっています。
社から株式会社 NJS（以下、NJS）へ変更致しま
したが、その社名変更と同時での２度目の札幌事
務所赴任でした。
さて、NJS にはグループ会社があり、そのひと
つに上下水道サービスの運営会社となることを目
指している株式会社NJS・E&M（以下、E&M）が
あります。現在、E&M では料金徴収業務から運
転管理業務まで上下水道サービスを中心に取り組
図ー１．主な業務内容
んでいます。北海道内では江別市において、2015
年４月より水道料金等収納業務を江別管工事業協
同組合様との共同企業体（以下、JV）で受託、業 ２．１ 窓口・受付業務
務を開始しております。これは全国展開により培 窓口・受付業務は市民の転出入が多くなる３〜
った当社グループの技術力と、地元組合の現場で ４月がピークとなるため、営業時間を柔軟な対応
の行動力を組み合わせ、地域に根差した最良のサ としたり、図－２に示すようなジョブローテーシ
ービスを提供しようとするもので、料金調定専門 ョンにより全所員が対応可能とすることで利便性
業者と地元管工事業協同組合によるJVです。主な 向上を図っています。
役割分担は E&M が料金収納・調定業務を、江別
管工事業協同組合が検針業務を担い、NJS が欠員 ２．２ 検針・調定調業務
や災害時等のバックアップ等となっております。 検針は水道メータの確認・記録であり、料金徴
特に、江別管工事業協同組合は昭和61年から江別 収の根拠数値となるため、検針員に責任者が同行
市の検針業務を行っており、当該JVの大きな強み したり、月 20 件程度、検針結果の抜き打ち検査を
となっています。 実施したりすることでミスの防止に努めています。
以下にその内容をご紹介致します。 また、寒冷地のため、地中の水道メータが凍結
深度より深く設置されており、暗い上に水没して
いたりする場合があるので、図－３に示すような

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 図ー２．窓口・受付業務共有化の推進 図ー４．積雪時の開閉栓

雪庇の下には入らない、転落事故防止のため、埋
戻しを確実に行う等に配慮しています。

２．５ 滞納整理・給水停止
事業の収益に直結する課題として未収金の回収
がありますが、これも当業務の対象となっていま
す。具体的には滞納対象者を抽出し、交渉致しま
す。交渉は十分に話し合う時間を持って “ 粘り強
く・辛抱強く ” をモットーにしています。
一方で、正当な理由なく、滞納が続く場合、給
水停止措置を実施しています。これは従前にも給
図ー３．水中検針 水停止は実施されていましたが、当業務において
は段階的に実施頻度を増やし、お支払いを促す機
会の向上に努めています。この給水停止は目的で
水中検針器を用いて確実な視認を実施していま はなく、あくまで“納入促進のための手段”と考え
す。 ています。

２．３ 収納・徴収業務 ２．６ その他

料金及び会計処理が分業となっていたり、料金/ 当業務はその性格上、多くの個人情報を扱うこ
会計システムが別々に存在することで未収金額の ととなりますが、公的な認証を受けたPMS個人情
不一致を生じる可能性がありますが、これを防止 報保護マネジメントシステムを適切に運用するこ
するため独自の日計表を用いるとともに、毎日突 とより、その漏えい防止に努めています。
合を行っています。 その他、地元組合とのJV及び従前の既存業務従
事者に希望を募ることで地元雇用にも貢献してい
２．４ 開閉栓・転出精算 ます。また、地域に密着した５ヶ年の業務となる
市民の転出入に伴う開閉栓はまだ雪の残る３ ことから、地元組合を通じてイベントへの協賛や
〜４月頃に多く、普段以上に安全管理に努める必 子ども安全を見守る運動への参加、清掃奉仕活動
要があります。このため、原則２名以上で実施し、 等も行うこととしています。

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 ■３．おわりに

経営改善、人員不足解消等を図るべく、上下水
道事業においても官民連携が盛んになってきてい
ます。その一例として、江別市における水道料金
等収納業務のアウトソーシングについて紹介させ
て頂きました。
今後とも上下水道サービスを持続可能なものと
するために、私たち民間企業が事業体の良きパー
トナーとなれるよう、常にニーズの把握と課題解
図ー５．江別市民まつり 決能力の向上に努めて参りたいと思います。