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伊丹研有機化学レポート
伊丹研有機化学レポート
テーマ Benzoin 縮合
(a)Benzoin 縮合
日時 2023/7/3(月) , 7/4(火)
目的
試薬・生成物の情報
使用・生
分子量
密度(g/ml) 融点(℃) 沸点(℃) 成量 当量
(g/mol)
(mol)
チアミン 7.69×
337.27 24.5 0.052
塩酸塩 10-3
水酸化
40.00 2.13 0.266 1.8
ナトリウム
ベンズ
106.12 1.041~1.050 -26 179 0.148 1
アルデヒド
実験操作
7/3(月)
13:14 チアミン塩酸塩 2.9592g を 100ml スリ付きナスフラスコに入れた.
13:16 水 8ml を加え, 完全に溶かした.
13:22 エタノール 30ml を加えた.
13:31 氷浴につけ, 攪拌しながら NaOH 5ml を加えた.
13:46 攪拌を終了した.
13:47 pH 試験紙で pH が 9 であることを確認した.
13:49 ベンズアルデヒド 15ml を氷浴中で加えた.
13:53 湯浴で加熱し, 攪拌を開始した. (この時の湯浴の温度 52℃)
13:55 スリ付きナスフラスコに還流管を取り付けた.
14:02 湯浴が 70℃に達した.
15:36 湯浴からナスフラスコを引きあげた.
15:45 TLC で反応追跡を行った. (展開溶媒 酢酸エチル/ヘキサン=1/4)
15:51 氷浴中でナスフラスコを振ると, クリーム色の固体が析出した.
16:31 別の 100ml ナスフラスコの風袋を測定した. 69.7586g であった.
16:32 得られた固体を吸引ろ過した.
16:40 先ほどの 100ml ナスフラスコと固体の合計の重さを測定した. 76.9604g であった.
16:57 湯浴 80℃でエタノール 80ml を加えて溶かし, 静置した.
7/4(火)
13:10 氷浴で再結晶した溶液を 5 分間氷冷した.
13;15 冷却された EtOH を使用して吸引ろ過を行った.
13:20 紙箱の重さを測定した. 4.3017g であった.
結果
粗 収 量 は 76.9604-69.7586=7.2018g で あ っ た . 加 え た ベ ン ズ ア ル デ ヒ ド は 15ml で ,
147mmol である. この mol 数の半分だけベンゾインは生成するはずである. これを基に粗
収率を計算すると,
7.2018𝑔
× 100 = 46.16%
147 × 10−3 𝑚𝑜𝑙× 0.5 × 212.24𝑔/𝑚𝑜𝑙
46.2%であった.
考察
氷浴中でナスフラスコを振ることにより固体が析出した. この理由について考える. 直前
まで 70℃で 90 分間温めていたため, ナスフラスコ内の温度はかなり上がっていたと考えら
れる. この状態から, 氷浴に入れたため, 急激に容器内の温度が下がり, 過飽和現象が起き
たと考えられる. 過飽和の説明を以下に述べる. 「飽和の限度以上に物質が存在すること.
たとえば,飽和溶液の濃度(溶解度)より多く物質が溶けているなど,飽和蒸気圧以上に蒸気
が存在するなどの状態である.熱力学的に準安定であるから,その系を長時間放置するなど
何らかの衝撃を与えると,結晶が析出したり,蒸気が凝縮して,急激に平衡状態に移行して
安定化する.」氷浴に入れて振り混ぜる前までは固体が析出していなかったが, これは準安
定状態にあり, 実際は析出すべき量のベンゾインが溶けていたために, 振り混ぜるなどの
衝撃を与えることによってエネルギーを与え, 安定状態へと平衡を動かしたため固体が析
出したと考えられる.
0.0339𝑚𝑜𝑙
= 4.4
7.69 × 10−3𝑚𝑜𝑙
(b)ベンゾインの塩素化
日時 2023/7/5 (水)
目的
ベンゾインを塩化チオニルと反応させ, デシルクロリドを生成する.
試薬・生成物の情報
使用・生
分子量
密度(g/ml) 融点(℃) 沸点(℃) 成量 当量
(g/mol)
(mol)
9.47×
ベンゾイン 212.24 132~137 344 0.34
10-3
塩化
118.97 1.63~1.67 -104.5 80 0.0277 1
チオニル
デシル
230.69 63~69
クロリド
実験操作
結果
TLC の結果を以下に示す.
右と中に出ている大きなスポットの Rf 値は 0.53 で, 左と中に出ているス
ポットは 0.28 である. 左に打ったものはベンゾインなので, Rf 値 0.28 のス
ポットはベンゾインである. Rf 値 0.53 のスポットは生成物のデシルクロリ
ドであると考えられる. 右に出ている小さなスポットはテーリングが原因
だと考えられる.
5.6004𝑔
× 100 = 35.90%
147 × 10−3 𝑚𝑜𝑙× 0.5 × 212.24𝑔/𝑚𝑜𝑙
35.9%となった.
考察
100℃で加熱している時に発生している気体は二酸化硫黄と塩化水素であると考えられる.
(c)還元
日時 2023/7/6 (木)
目的
試薬・生成物の情報
分子量 使用量
密度(g/ml) 融点(℃) 沸点(℃) 当量
(g/mol) (mol)
デシル
230.69 63~69
クロリド
実験操作
結果
TLC の結果を以下に示す.
一回目
上のスポットの Rf 値は 0.63, その下のスポットは 0.45 である. 左と中には
原料を打っているので, Rf 値 0.63 のスポットはデシルクロリドであると考え
られる. 右と中に出ているスポットはデシルクロリドのカルボニルが還元さ
れてヒドロキシ基になった物質であると考えられる. 反応剤に NaBH4 を用
いており, ヒドロキシ基の極性が高いことからも妥当である.
二回目
一番上のスポットの Rf 値は 0.78, その下のスポットは 0.59, さらにその下は
0.43 である. 一番上のスポットは生成物のトランススチルベンであると考え
られる. その下はスポットが小さく濃度が低いと考えられるので, 反応で余
ったデシルクロリドであると考えられる. 一番下は前段階でのデシルクロリ
ドのカルボニルがヒドロキシ基に還元された物質であると考えられる.
亜鉛を加えて攪拌すると, 溶液は灰緑色に変化した.
1 時間攪拌した後, 溶液は薄い黄色に変化した.
ジエチルエーテルを 50ml 加えて白色固体を加えた時, ナスフラスコの底に灰色の粘土状の
物質が沈殿した.
考察
デカンテーションについて説明する. 「溶液中の沈殿などの固体を溶液から分離する方法の
一つ.容器を静置して固体を沈降させたのち,容器を静かに傾けて上澄み液だけを流し出す
操作をいう.古くは傾瀉といった.
」今回は亜鉛や亜鉛化合物などの沈殿物を取り除くため
にデカンテーションを行った.
参考文献
Fujifilm ホームページ 製品情報
標準化学用語辞典第二版 デカンテーション
(d)ワークアップ
日時 2023/7/7
目的
試薬・生成物の情報
分子量 使用・生
密度(g/ml) 融点(℃) 沸点(℃) 当量
(g/mol) 成量
(mol)
トランス 4.52×
180.25 0.97 123~125 305~307 1
スチルベン 10-3
HCl 36.46 1.49 -114 -85 必要量
NaHCO3 84.01 2.159 270 必要量
NaCl 58.44 2.165 必要量
Na2SO4 142.04 2.68 必要量
エタノール 46.07 0.789 78 必要量
実験操作
結果
TLC の結果をに示す.
一番上のスポットの Rf 値は 0.93 である. スポットの濃度が高かったためか, テ
ーリングを起こしていた. 365nm の光を当てたところ, 一番上のスポットのみ
が青紫色に発光した. このため, 目的物であるトランススチルベンは生成した
と考えた.
エバポレーター終了後, ナスフラスコ内にはクリーム色の固体が析出した.
粗生成物の重さは, 測定結果より, 85.6720-83.8542=1.8178g であった.
化学量論比を考えると, ベンゾインの物質量がそのままトランススチルベンの物質量とな
る. よって, 粗収率は,
1.8178𝑔
× 100 = 106.43%
2.0103𝑔
× 180.2𝑔/𝑚𝑜𝑙
212.24𝑔/𝑚𝑜𝑙
106.43%となった.
考察
洗浄で塩酸を用いた理由は, トランススチルベンまで反応しきっていない化学種をプロト
ン化させ, 反応を進行させてトランススチルベンまでもっていくためである.
洗浄で重曹水を用いた理由は, 溶液中に残っている酸性物質を取り除くためであると考え
られる. デシルクロライドのカルボニルがヒドロキシ基に置き換わった化合物はこの段階
で排除されると考えられる.
(e)ベンゾインの硝酸酸化
日時 2023/7/10 (月)
目的
ベンゾインを硝酸で酸化し, ベンジルを合成する.
試薬・生成物の情報
使用・生
分子量
密度(g/ml) 融点(℃) 沸点(℃) 成量 当量
(g/mol)
(mol)
9.38×
ベンゾイン 212.24 132~137 344 1
10-3
硝酸 63.01 1.38 -42 82.6 0.153 16
ヘキサン 86.18 0.66 -95 69 必要量
酢酸エチル 88.11 0.898~0.902 -83.6 77 必要量
エタノール 46.07 0.789 78 必要量
実験操作
結果
TLC の結果を以下に示す.
Rf 値は, 上のスポットから順に 0.75, 0.70, 0.55, 0.48 であ
る. 左はベンゾインの原料なので, 右に打った反応溶液に
おいてベンゾインは残っていない. 一番大きく表れている
スポットは主生成物のベンジルであると考えられる. 残り
二つのスポットについては, 考察の項で詳しく述べる.
1.9911𝑔
× 210.23𝑔/𝑚𝑜𝑙 = 1.97𝑔
212.24𝑔/𝑚𝑜𝑙
2.04𝑔
× 100 = 103.5%
1.97𝑔
103.5%となる.
考察
TLC のスポットで出ていた二つの副生成物について考える.
上から二番目のスポットは, ベンゾインのヒドロキシ基が分子内のカルボニルに攻撃して
オキサシクロプロパンの骨格を持つものであると考えられる. 構造を以下に示す.
下から二番目のスポットとして考えられるのは, 多数のベンゾインが水素結合した構造で
あると考えられる. カルボニルの酸素が別のベンゾイン分子のヒドロキシ基に結びつくこ
とにより水素結合を形成し, 水素結合で結びつくことによって極性を少し軽減することが
出来ると考えられる.
ナスフラスコに硝酸を入れた直後に発生した気体は, 二酸化窒素であると考えられる. こ
のことはその後発生した気体の色が褐色であること, 課題 1 の反応機構などから推測され
る.
(f)ベンジルキノキサリンの調製
日時 2023/7/11 (火)
目的
ベンジルと o-フェニレンジアミンを反応させて環状のイミドであるベンジルキノキサリン
を合成する.
試薬・生成物の情報
使用・生
分子量
密度(g/ml) 融点(℃) 沸点(℃) 成量 当量
(g/mol)
(mol)
ベンジル 210.23 94~97 346~348 1.99× 1
10-3
o-フェニレ 2.00×
108.14 103~104 1.005
ンジアミン 10-3
ヘキサン 86.18 0.66 -95 69 必要量
酢酸エチル 88.11 0.898~0.902 -83.6 77 必要量
メタノール 32.04 0.791~0.793 64 必要量
.
実験操作
12:48 氷浴にろ過前のベンジル溶液の入ったナスフラスコを入れた.
13:00 スパーテルで掻き出して氷冷したエタノールで洗いこみを行った.
13:19 1.9366g のベンジルが生成物として得られた.
13:25 0.4191g のベンジルをスリなし 50ml ナスフラスコに入れた.
13:34 0.2168g の o-フェニレンジアミンも同様に加えた.
13:50 ナスフラスコを 110℃のオイルバスに入れ加熱を開始した.
14:34 TLC で反応を追跡した. (展開溶媒 ヘキサン/酢酸エチル=4/1 左, 中 o-フェニレン
ジアミン 右, 中 反応溶液)
14:50 再び TLC で反応を追跡した. (展開溶媒, スポット位置は同じ)
15:00 オイルバスから引き上げた.
15:02 メタノールを 10ml 入れて加熱してドライヤーで加熱して溶かした.
15:37 氷浴で放冷した.
17:24 ナスフラスコからスパーテルで固体を掻き出し, 氷冷したメタノールで洗いこみを
した. その後, 固体をろ紙に挟んで乾燥させ, 収量を測定した. 0.3379g のキノキサリンが得
られた.
結果
TLC の結果を以下に示す.
一回目の TLC は加熱開始から 45 分後に行ったも
のである. 上のスポットから順に Rf 値が 0.70,
0.58, 0.08 となった. 二回目は加熱開始から 1 時
間後に行ったものである. Rf 値が上から順に 0.70,
0.58, 0.43, 0.08 となった. 左側にあるスポットは
o-フェニレンジアミンであり, 右側に出ているス
ポットがキノキサリン関連の物質である. UV で
一番色が濃く見えていたのは一番上のスポット
であった. これが主生成物のキノキサリンである
と考えられる. 二回目で反応が進んだ段階で見え
るようになった Rf 値 0.43 のスポットが副生成物
であると考えられる. 詳細については考察の項で
述べる.
一回目 二回目
キノキサリンの収率を求める. mol 数に変換した時, ベンジルと o-フェニレンジアミンでは
ベンジルのほうが少ないため, キノキサリンもベンジルと同じ mol 数生成すると考えられ
る. 実際に得られたキノキサリンは 0.3379g なので, 収率は,
0.34𝑔
× 100 = 60.7%
0.4191𝑔
× 282.34𝑔/𝑚𝑜𝑙
210.23𝑔/𝑚𝑜𝑙
60.7%となる.
考察
2 回目の TLC で, 右側に出ているスポットの内, 上から二番目と下から二番目のものにつ
いて構造を考察する. o-フェニレンジアミンの極性が一番高く, キノキサリンの極性が一番
低いことを考えると, その間の中間体がスポットとして表れている可能性が高い. 二つの
中間体が考えられ, その内キノキサリンに近い方の構造をもつ化合物が上から二番目, も
う一方が下から二番目のスポットであると考えられる. 二つの中間体の構造を以下に示す.
下から二番目 上から二番目
初めにナスフラスコに入れた化合物は二つとも固体であった. しかし, オイルバスで加熱
後は溶液になっていた. ここで, o-フェニレンジアミンの融点は約 103℃, ベンジルの融点
は約 95℃, オイルバスの温度は 110℃であるので, 初めにベンジルが融解し, 続いて o-フェ
ニレンジアミンが融解したと考えられる.
まず, フィッシャーインドール合成について説明する.
アルデヒドやケトンとアリールヒドラジンとの反応で生成するアリールヒドラゾンを酸触
媒の存在下で加熱する. それにより, シグマトロピー環化反応が起き, 置換インドールが生
成する. 反応機構を以下に示す.
ビシュラー・メーラウ インドール合成
この反応の出発物質はアニリンとα-ハロカルボニル化合物である. 反応機構を以下に示す.
バートリ インドール合成
ビシュラー・メーラウインドール合成とバートリインドール合成について, フィッシャーイ
ンドール合成とどのような点で異なるかを説明する.
フィッシャーとビシュラーの方法では, 窒素の五員環の方に置換基を導入することが出来
る一方, バートリの方法ではベンゼン環に置換基を導入することができる. 最終的に合成
したい化合物に合わせて反応を変え, 適切な位置へ置換基を導入することが出来る. フィ
ッシャーの方法とビシュラーの方法は反応機構が似ているが, フィッシャーインドールは
酸触媒を用いて反応を進行させているが, ビシュラーの方法ではもう一つのアニリンを触
媒的に用いている. また, フィッシャーの方法では副反応が多く起こる可能性が高い. 例え
ば, アリールヒドラゾンが N-メチル化あるいは重合を起こしてしまい, 副生成物が多く得
られる可能性が考えられる.
参考文献
Miyata, O.; Kimura, Y.; Muroya, K.; Hiramatsu, H.; Naito, T. Tetrahedron Lett. 1997, 62,
425.
Bischler, A. et al. Ber.1893, 26, 1336.
Möhlau, R. Ber.1882, 15, 2480.
Bartoli, G.; Bosco, M.; Dalpozzo, R.; Palmieri, G.; Marcantoni, E. J. Chem. Soc., Perkin Trans.
11991, 2757.
Bartoli, G.; Palmieri, G.; Bosco, M.; Dalpozzo, R. Tetrahedron Lett.1989, 30, 2129.
3
まずは, シクロペンタジエンとの反応を考える. シクロペンタジエンと無水マレイン酸に
よって, Diels-Alder 反応が起こる. シクロペンタジエンはアルキル基が結合しているため電
子豊富なジエンであり, 無水マレイン酸は, エステルが結合しているため, 電子不足のジエ
ノフィルである. Diels-Alder 反応では, ジエンの HOMO とジエノフィルの LUMO が軌道
間相互作用することによって六員環構造を形成する. ジエンが電子豊富であるとジエンの
HOMO のエネルギーが上がり, ジエノフィルが電子不足であると LUMO のエネルギーが
下がる. これによって軌道間のエネルギー差が小さくなり, Diels-Alder 反応が起こりやすく
なる. また, 無水マレイン酸はπ軌道を持つカルボニルを分子内に持っている. このπ軌道
がジエンの HOMO と相互作用して安定になることが出来るので, この反応は endo 体優先
で進行する.
次に, フランをジエンとして用いる場合を考える. フランはジエンの隣に電気陰性度の大
きい酸素が結合しているため, シクロペンタジエンに比べて電子不足なジエンとなる. こ
れにより, フランの HOMO はシクロペンタジエンのそれよりもエネルギー準位が下がる
と考えられる. また, シクロペンタジエンで見られたジエンの HOMO と無水マレイン酸の
カルボニルのπ軌道の相互作用は, フランにおいてはジエンの電子が不足しているために
効果が減少すると考えられる. ここで, Diels-Alder 反応の endo 体と exo 体では, エクアト
リアル位で結合している exo 体のほうが熱力学的には有利である. 軌道相互作用により遷
移状態が安定化されるために endo 体が生成するが, その相互作用が減少するフランとの反
応では, 熱力学的に安定な exo 体が生成すると考えられる.
参考文献 https://www.chem-station.com/odos/2009/06/diels-alder.html
4
ベンゾイン縮合の反応において, 生成物の一つにスチルベンがあった. この分子について
調べた. スチルベンは, 分子全体にπ共役系が広がっている芳香族分子である. π共役系を
持っているため蛍光の性質を示し, 蛍光増白剤の原料として用いられている. 以下に構造
を示す.
スチルベンの物理的性質を述べる.
化学式: C14H12
分子量: 180.25g/mol
融点: 123~125℃
沸点: 305~307℃ 744mmHg
比重: 0.97g/ml at 25℃
外見: 結晶または結晶性粉末
色: 白~ややベージュ
蛍光増白剤の具体的な構造として以下のようなものが挙げられる.
上の物質の物理的性質を述べる.
融点 >300℃
密度 1.414
外見 固体
色 薄緑から緑
水溶解度 17.6g/L at 20℃
上の図において赤丸で囲んだところにスチルベン骨格が使われている. 考えられる合成手
順を述べる. フェニル基のパラ位にボロン酸やハロゲンを入れて, カップリング反応で二
つを繋ぐ. もう片方のパラ位は保護されているため, つないだ後に H2SO4, SO3 と反応させ
ることにより, オルト位にスルホ基を導入する. この化合物は, π共役系の分子であり, 紫
外線を吸収する. それによって青色の光を発し, 衣服の黄ばみを打ち消す役割をしている.
参考文献
Fujifilm ホームページ 製品情報
https://www.chemicalbook.com/ChemicalProductProperty_JP_CB5221132.htm
062101289 藤井康平
段階を踏んで有機分子を合成する経験が出来てよかったです. 実際の有機合成へのいい経
験になったと思います. 初めは操作に時間がかかっていましたが, 回数を経るにつれて効
率を上げることが出来ました. 共通実験で再結晶が上手くできずに苦労しましたが, 今回
は比較的高い収率で生成物を得ることが出来ました. 少し自信になりました. 自分は将来
有機化学に関わる可能性があるのでこの経験を大切に残りの実験も頑張りたいと思います.
最後に, 実験を支えてくださった TA の皆さん本当にありがとうございました. 特にベンゾ
イン縮合を担当してくださった甲斐さん, 千原さんとても頼りになる存在でした. 感謝し
ています.