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第12回P&G1
第12回P&G1
第12回
P&G 1
青木良三
はじめに
• コカ・コーラ社と同様、今回取り上げるP&Gも多国籍企業で、
世界中で製品を販売している。
• 今回の授業では、P&Gの製品戦略、ブランド戦略、М&A戦略に
ついて説明する。次回の授業で国際戦略の話しをする。
• 世界中でビジネスをしていく上で何が重要かについて説明する。
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1. 歴史
• 1837年、石鹸製造業のジェームズ・ギャンブルと
ローソク製造業のウィリアム・プロクターが米国オ
ハイオ州シンシナティでP&Gを設立した。石鹸と
ローソクの原料が同じ原料であったことが理由。当
時、米国は経済恐慌で経営環境は非常にきびしかっ
た。
• 1837年以降、米国で最初に「社員持ち株制度」を
導入し、米産業界で初めて研究所への投資を行うな
ど、先進的な経営を行ってきた企業である。
• 1890年以降、フレーク状洗濯・食器用石鹸「アイ
ボリーフレークス」、初の家庭用合成洗剤「ドレフ
ト」など、革新的な商品を開発、発売した。
• 1930年代に、世界で最初に「ブランドマネー
ジャー制度」を確立した。製品開発から消費者調査、
販売促進、宣伝、流通に至るマーケティング活動全
体を統合管理するブランド・マネジメント組織を創
設した。
• 1945年以降、洗濯用洗剤「タイド」で成功を収める
一方、歯磨き剤「クレスト」や「パンパース」を始
めとする紙製品ビジネスに事業を拡大した。
• 1980年には、世界23カ国でビジネスを展開し、売上
高は110億ドル近くに成⾧した。
• 1980年以降、ヘルスケア事業と化粧品事業に参入し
た。米国、ヨーロッパ、日本、ラテンアメリカに
研究開発拠点を設け、グローバルな体制を整えた。
パンテーン、ウィスパー、アリエールなどのグロー
バルブランドが誕生した。
• 2000年以降、売上高が10億ドルを超える製品ブラン
ドを23ブランド持つ、世界最大の消費財メーカーに
発展した。
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純売上高 営業利益
2019年6月30日 677 55
(単位)億ドル
事業セグメント別売上高構成比
ファブリック&ホームケア部門の売上
高構成比は35%で、次いで、ベビー、
フェミニン、ファミリーケア部門が
25%となている。両部門で売上高の
60%を占める。
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セグメント 売上高構成比 製品カテゴリー ビリオンダラー
(売上10億ドル以上)
事業セグメント別売上高 構
ブランド 成比、製品カテゴリー、ビリ
ビューティー部門 19% 化粧品、女性用制汗剤・デ ヘッド&ショルダーズ、オ オンダラーブランド
オドラント、女性用パーソ レイ、パンテーン、
ナル・クレンジング、女性 ウエラ (2020年6月30日現在)
用シェービングケア、ヘア
ケア、ヘアカラー、ヘアス
タイリング、プレステージ
製品、サロンプロフェッ
ショナル、スキンケア
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ロ.統合化された成⾧戦略
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【参考】P&Gの5つのコアとなる強み
①、消費者理解力、
消費者のあいまいな(潜在的な)ニーズを明らかにする消費者理解力です。
②、イノベーション(技術革新)能力、
消費者ニーズを新製品に作り込む製品開発力のことです。
③、ブランド構築力、
消費者の購買意欲を喚起し、便益を想起させるブランドを構築する能力です。
④、市場展開力、
小売業者と消費者に対して適切な「場」と「タイミング」で、商品を届ける
能力です。
⑤、企業規模、
効率性と消費者価値を追求することのできる企業規模です。
これら5つのコアとなる強みを生かして、P&Gは戦略を遂行しています。
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⒊ P&Gのメガブランド戦略
イ.ブランド構築が重要な理由
① 製品のコモディティ(日用雑貨)化問題
② 機能面での製品差別化の困難化
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【質問】
コモディティ化が進むと、企業間の競争は
どんな競争になるか?
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【質問】
仮に機能面で製品差別化できないとしたら、
どういった面で差別化したら良いか?
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ロ. コモディティ化を防ぐ対策
• 深い消費者理解(消費者調査)から戦略仮説(製品コンセプト)を立てて、
消費者ニーズを満たす形にして、製品カテゴリーの中でイノベーションを起
こす。
• 既存ブランドでもイノベーションを起こすことによって、コモディティ化を
避けることができる。
• これの成功例は、ファブリーズ。芳香剤はありきたりの商品であった。これ
を消費者理解(消費者調査)によって、消費者ニーズを明らかにして、製品
開発、イノベーションに役立てた。
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【質問】
ファブリーズはありきたりの
芳香剤であったが、何を付け
加えることによって、
製品差別化できたか?
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P&Gは広告宣伝に巨額の資金を投じている
• P&Gは、広告によってブランドの便益を消費者に訴えブランド・
イメージを確立させるため、年間9000億円支出している。これは
売上高の数%以上に当たる。世界最大の広告主といわれている。
• また、P&Gは、広告会社を戦略的なパートナーと位置づけている。
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ハ.M&A戦略
• P&Gは色々な事業分野のM&Aを行っているが、とくに力を
入れているのが化粧品分野である。
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買収額
買収時期 被買収企業 獲得ブランド
(億ドル)
1987 ブレンダックス
企業買収・事
1990 ジョンパトゥ ジョイ
1991 ベートリックス
の獲得
1991 ユーロ・コス ヒューゴ・ボス
2007 HDSコスメティックス
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• ジレットの買収は、当時のP&Gの年間売上高に匹敵する570億ドルを投じて
実施された。買収の狙いは、以下の3点である。
① 自社の売上げ規模を拡大して、巨大小売りチェーンに対抗すること。
② P&Gがこれまで手薄であった男性向け市場での事業展開がしやすくなる
こと。
③ 剃刀というメカニカル面にジレットの技術力とケミカル面に強いP&Gの
技術力を融合することによって、新たなイノベーションを期待できること。
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【質問】
ジレットのビジネスは、利益率が非常に高かった。
それはなぜか?
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• 北米事業がおよそ半分を占める。次いで、ヨーロッ
4. 世界で事業を展開 パ、グレーターチャイナとなっている。
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• P&Gが海外で事業を行う際のポイント
• ポイント1
進出先の市場を理解し、製品を開発することによって競争優位性
を構築。
• ポイント2
ブランド力が進出先国の市場を開拓する上で力を発揮。
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おわりに
• 製品のコモディティ化を避けるには、製品ブランドをしっかり消費者
に認知してもらうか、新しい機能を製品に付け加えて差別化するか
しかない。
• 製品ブランドを消費者に認知してもらうには広告宣伝に力を入れない
といけない。
• 製品ブランドが確立すると、海外で販売する時に、現地市場に受け入
れてもらえる可能性が高まる。
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