11回目 社会性の指標

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2022/12/7

第11回 企業の社会性の評価:SDGsとの関係 企業の社会性を問われるポイント

メセナ

講義が遅れていますので、
12月12日は10回目講義
資料の後半と11回目講義
資料を使用します

SDGs SDGs(エス・ディー・ジーズ)とはSustainable Development Goalsの略


で、持続可能な開発目標を示します。2015年の国連サミットで採択さ
れた「持続可能な開発のための2030アジェンダ」に記載された国際的
な目標です。自然環境への負荷や格差拡大などの課題解決を目指
し持続可能な世界を実現するため、2016年~2030年の間に達成す
べき17の目標を掲げています。
世界各国の企業や政府、NGO団体などがSDGsの目標達成に向け
た取り組みを進めており、日本国内でも注目度が近年急上昇してい
ます。ビジネスチャンスの獲得や企業価値向上につながる可能性が
あるとして、経済界からの視線も熱いです。
2017年の世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議)の中で、
SDGsの達成による効果として2030年までに少なくとも12兆ドルの経
済価値がもたらされることが発表されました。SDGsは大きな可能性を
秘める成長ファクターとして、各企業の注目を集めています。

https://www.trans.co.jp/column/sdgs/sdgscase2021/

参考:外務省|SDGsとは?

「サステナビリティ」が企業活動に求められる時代に
サステナブル(Sustainable)とは、どのような意味を持つ言葉なので
しょうか。 最近、企業の間で、中期経営計画やCSR(企業の社会的責任)の
戦略を策定する際に検討するためのインフラとしてSDGsが活用され
サステナブル(Sustainable)は、sustain(持続する)とable(〜できる) るケースが出てきています。
からなる言葉。「持続可能な」「ずっと続けていける」という意味があり SDGsとは「Sustainable Development Goals」の略称です。国連加
ます。現在、世界の人たちが共通の目標として取り組み始めている 盟(193ヵ国)が2030年までに達成するために掲げた持続可能な17の
のが「サステナブル(Sustainable)」な社会の実現です。サステナブル 目標として、2015年の国連サミットで採択されました。
(Sustainable)な社会」とは、「持続可能な社会」を意味します。それは、 2015年9月の国連サミットで採択された「持続可能な開発のための
地球の環境を壊さず、資源も使いすぎず、未来の世代も美しい地球 2030アジェンダ」に掲げられた17の「SDGs(持続可能な開発目標)」
で平和に豊かに、ずっと生活をし続けていける社会のことです。 は、2016年1月に発効しました。世界各国において、発効後の15年
間、すべての人々に普遍的に適用される17の新たな目標に基づい
て、取り組みを進めていくことが共通認識になっています。

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このSDGsが注目を集める背景として、社会全般における関心対象
が「環境」から「Sustainability」へとその幅が広がっていることが関係
しています。企業を取り巻く状況変化のスピードがますますはやく
なっており、「環境」を意識するだけでは取り組むべき経営課題のす
べてを網羅できなくなっています。
これからは「経済」と「社会」を加えた視点、すなわち「Sustainability」
の見方が欠かせなくなっていると言えるでしょう。
SDGsが目指す持続可能な開発目標を達成するためには、「経済成
長」「社会的包摂」「環境保護」という3つの要素の調和が欠かせませ
んが、今日、様々な企業のあらゆるビジネスにおいて、まさにこの3要
素を重視したマネジメントが必須になってきていること示している調査
結果と言えます。

しかし「社員の認知度が低い」「具体的な目標・KPI の設定ができて
いない」「社内推進体制の構築が遅れている」「商品・サービス・事業
の開発への結び付けが弱い」など、多くの取り組み企業は、企業経
営に貢献するSDGsの推進に課題を抱いています。

SDGsがこれからの企業活動に欠かせない5つの理由
https://www.nnlife.co.jp/pedia/hints/sdg_20200512

共通言語と目的共有 市場の安定化

持続可能性価値の向上 ビジネスチャンスの見極め
ステークホルダーと関係強化
https://shikousakugo.jma.or.jp/project/sdgs1016

SDGsをどのように企業活動と結び付けていけばよいか 企業活動に伴うリスクを17の観点で把握
外部環境を分析、課題を把握する経営ツールとしては、PEST
SDGsはISO14001だけでなくすべてのISOにも関係してくる
(Politics、Economy、Society、Technology)分析がよく知られていま
「SDGs=環境、エコ」「SDGs=ISO14001」と認識されているようです。
す。経営や事業の戦略を考えていく上での代表的なツールであり、
SDGsは企業のマネジメント全般に関係してきます。ここで強調した
4つの切り口から外部環境の変化を把握し、経営上の課題抽出に
いのは、「SDGsとは環境マネジメントシステムとの相性がいいという
使われます。
点」です。
この分析の際、広い意味でのSociety(社会)な目線を採り入れたの
強いていえば、ISO14001の環境マネジメントシステムだけでなく、 がSDGsです。
ISO9001、27001、45001などすべてのマネジメントシステムにも使い
世の中の多くの企業は、SDGsは自分達とは関係ないと考えている
勝手がいいと考えています。自社の取り巻く状況から自分たちの課
ようですが、この発想は時代遅れになっているでしょう。
題、すなわちビジネス対応は、SDGsの発想と重なっているのです。
今日、「経済社会の持続可能な発展がなくしてビジネスの成功はな
い」という考え方が、CSRの観点からもグローバルスタンダードに
ISO14001とは、国際標準化機構(ISO)が策定した環境マネジメントシステムの国際認証規 なっており、それに伴うSDGsは企業経営の面から対応が欠かせな
格です。企業活動における環境リスクを分析し、そのリスクを低減するための仕組みを構築 くなっているのです。
するガイドラインのような存在となります。
簡単に説明すると、環境にとって良い要因は伸ばし、悪い要因は低減・改善していく仕組みを
作り、継続的に運用していきましょうというもので、組織の自主的な環境への取り組みを支援
する目的で策定されました。https://activation-service.jp/iso/column/2816

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PEST分析(ペスト分析)とは政治、経済、社会、技術といった4つの SDGsの推進は社内横断的な取り組みが必要
観点からマクロ環境(外部環境)を分析するマーケティングフレーム
ワークのこと。 環境や品質担当はむろん、企画・設計担当から、調達、製造、営
これら4つの視点から外部環境に潜む自社にプラス・マイナスのイン 業担当、あるいは経営企画などの管理部門を含めて、社内のさまざ
パクトを与え得る要因を整理し、影響度を評価します。PEST分析は まな部門が、自分たちの影響を考えて取り組むことが必要になりま
マーケティング分野の第一人者であるフィリップ・コトラー氏が考案し す。ここで避けたいのは、狭い意味での「環境」や「Sustainability」だ
ました。 https://www.kaonavi.jp/dictionary/pest-bunseki/ けだと捉えてしまい、取り組み内容が限定され、結果としてあまり役
に立たない活動に終始してしまうことです。
例えばすべての企業に関わってくるテーマとして地球温暖化があ
ります。その対応に関して、「モノを作っていないのでCO2排出量は
多くはなく、削減のための効果的な対応策はありません。そのため
にオフィス部門で省エネを進めてきましたが、削減が限界にきて頭
打ちです」などという話はよく聞きます。
ですが、ここで期待されているのは、提供する商品・サービスに関
連させたCO2削減の取り組みです。ですから、どんなビジネスでも
削減のための活動は見つかるはずです。
https://kreo.jp/report/210614_marketing-keyward/

SDGsの対応次第では資金調達へ悪影響を及ぼす これらの投資原則自体には法的な拘束力はありませんが、機関投資
家にとって投資先のESG課題の対応状況をしっかり見ることは、投資リ
DGsは、企業経営において重要な資金調達であるファイナンスと密 スクへの対応になりますし、その社会的責任からも欠かせないのです。
接な関係があることを再度強調しておきます。ここで注目したいのが このように、SDGsとはファイナンスをバックにした社会や環境、ガバナ
ESG(Environment、Social、Governance)投資です。 ンスの「モノの見方」なのです。長年やってきた自社ビジネスが、社会
従来、企業は投資を受けるにあたって、会計決算の利益率などの にどのような影響を及ぼしているのかの観点から、あらためて見ていく
財務情報が重視されてきました。ところが最近、ESG投資が存在感を のです。今やっていることを、SDGsという切り口で改めて再確認する、
増すにしたがい、「環境」「社会」「ガバナンス」への対応状況といった このように捉えてもらえばいいでしょう。
非財務情報も考慮されつつあるのです。(図表参照)
このESG投資が広がっている背景には、国連環境計画(UNEP)と国 責任投資原則(PRI:Principles for Responsible Investment)とは、2006年にコフィ-アナン第七
連グローバル・コンパクトが推進している責任投資原則(PRI)の存在 代国連事務総長の提唱により、国連環境計画と金融イニシアティブ、及び国連グローバル・
があります。このPRIに署名している企業は世界で約1,500社にも及 コンパクトとのパートナーシップが打ち出した投資に対する原則のことです。
その内容は、投資家に対して、企業の分析や評価を行う上で長期的な視点を持ち、ESG情報
び、国内でもPRI日本版をいくつもの企業が受け入れ表明しています。 を考慮した投資行動をとることを求めるものでした。
ガバナンス(governance)とは「統治・支配・管理」を示す言葉です。 企業におけ ESGに関する課題を、投資の際の意思決定に組み込むことにより、お金を流す側である投資
るガバナンスは「健全な企業経営を目指す、企業自身による管理体制」を指しま 家の行動が変わり、お金を受け取る側である企業の行動も、持続可能な方向へと促進され
す。 日本では、2000年代ごろに大企業による不祥事が相次いだことから、注目さ ることが期待されています。
れるようになりました。https://www.dodadsj.com/content/200601_governance/
https://www.ecology-plan.co.jp/information/15169/

ESG投資に求められる対応はSDGsでチェックする CSRとSDGsの関係は?
投資家は、ESG関連のテーマに実際にどの程度取り組んでいる CSR自体はマネジメントシステムではないので、企業の中でファイナンスとは直接的
のか、しっかり見ています。 なつながりは持てませんでした。そのために、経営面と直接的に結び付けて取り組ま
対応する体制作りを含めて取り組みが遅れていると、投資家から れるケースは多くはなかったようです。その一方でCSRが広く認知されることで持続
可能性の考え方が広まり、その後、Sustainabilityという言葉に受け継がれてきたの
選別されかねません。このESG投資への企業としての対応項目 は間違いないでしょう。
がSDGsと関連しているのです。 実際に取り組むにあたって、CSRを理解しておくことも重要です。以前、CSRでよく
企業として、社会が持続可能な発展に向けて貢献しているかどう 見られたのは、製品やサービスが国内完結型のビジネスの場合、「CSR=環境」と限
か、しっかり選別する投資手法に認められるには、まさにSDGsへ 定的に捉えてしまって、社会的側面についてはあまり意識せずに対応してきたパター
の対応が欠かせない状況になっています。 ンです。
ですが、今日、サプライチェーンを含め海外とどこかでつながりと持っているケース
が多く、本来の意味のCSRを意識せざるを得ない状況です。
ESGって? CSRについて、例えば人権対応は海外では以前から最重視項目になっていますが、
ESGは、 日本では「差別」「いじめ」と限定的に捉えられています。
【 E 】 : Environment – 環境 その人権に関連しますが、最近、ようやく日本でもパワハラや女性の管理職比率が
【 S 】 : Social – 社会 話題になっていますが、海外は以前から問われていたテーマです。もちろん国内でも
【 G 】 : Governance – 企業統治 本来のCSR にしっかり対応している企業も少なくありませんが、全体で見てみるとは
を指します。 企業によって温度差が感じられます。
これらの要素を投資の分析や意思決定、株主行動に取り込むことが求められています。
一方、SGDsについては、グローバル企業か国内完結企業かなどは関係なく、業
https://www.ecology-plan.co.jp/information/15169/
種・業態や組織規模の大小についても一切問わず、すべての企業が当事者として配
慮することが必要です。

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