作成日：令和 5 年 1 月 13 日 第 6 版

〔ホームページ公開用資料〕

頭頸部領域（唾液腺含む）の癌における癌関連分子の研究

１．臨床研究について
九州大学病院では、最適な治療を患者さんに提供するために、病気の特性を研究し、診
断法、治療法の改善に努めています。このような診断や治療の改善の試みを一般に「臨床
研究」といいます。その一つとして、九州大学大学院医学研究院形態機能病理学では、現
在、頭頸部・眼部領域癌の患者さんを対象として、頭頸部・眼部領域癌における癌関連分
子に関する「臨床研究」を行っています。

今回の研究の実施にあたっては、九州大学医系地区部局臨床研究倫理審査委員会の審査
を経て、研究機関の長より許可を受けています。この研究が許可されている期間は、令和 7
年 3 月 31 日までです。

２．研究の目的や意義について
頭頸部・眼部領域癌は全臓器悪性腫瘍の 5%程度と少ないですが、発生部位は鼻・副鼻腔、
上咽頭、中咽頭、下咽頭、喉頭、口腔、唾液腺、甲状腺、結膜、涙嚢、眼窩と多彩であり、
部位ごとに組織像・発癌の背景・進展の原因・治療法・予後が異なることが知られていま
す。また、同じ部位より発生した癌であっても組織像は多彩であり、その治療効果や予後
が大きく異なることも知られています。そして、Quality of life（生活の質)に直接関係
する嚥下機能や発語機能をなるべく温存し、治療の奏功率を高い水準で維持するためにも、
癌関連分子の究明と分子標的治療の導入が必要であると考えられます。
本研究では、癌がもっている癌関連分子の種類を明らかにし、それらがどのような働き
をしているかを調べることで、治療に結びつけることを目標としています。

３．研究の対象者について
1980 年 1 月 1 日から 2022 年 12 月 31 日までに九州大学病院、九州がんセンター、浜の町
病院、山口赤十字病院、岡山大学病院に登録された頭頸部・眼部領域の腫瘍、約 2200 症例
を対象として研究を行います。患者さんが対象者となることを希望しない場合は、対象と
なる症例から除外して研究を行います。
研究の対象者となることを希望されない方又は研究対象者のご家族等の代理人の方は、
事務局までご連絡ください。

４．研究の方法について
本研究は、すでに採取された病理組織を研究対象とする後ろ向き研究で、まずは当教室
に登録された組織を、最新の WHO などにより定められた、現行の国際的な基準の下で再診
断します。そして、病理組織を免疫化学染色や in-situ hybridization、DNA 配列の解析を
行い、癌関連分子の異常を調べます。さらに公に分譲されている細胞株を用いて、遺伝子発現
の解析を行います。発生部位や組織像、癌関連分子の発現と臨床的な情報を統計学的に解析
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し、有用であろう分子標的治療を推測します。

〔取得する情報〕
病理学的所見（組織型）
臨床病理学的所見（年齢、性別、部位、リンパ節転移、遠隔転移など）
共同研究機関の研究対象者の試料や情報についても、郵送や手渡しにて収集し、詳しい
解析を行う予定です。

５．個人情報の取扱いについて
研究対象者の病理組織、解析結果、カルテの情報をこの研究に使用する際には、研究対
象者のお名前の代わりに研究用の番号を付けて取り扱います。研究対象者と研究用の番号
を結びつける対応表のファイルにはパスワードを設定し、九州大学大学院医学研究院形態
機能病理学研究室内のインターネットに接続できないパソコンに保存します。このパソコ
ンが設置されている部屋は、同分野の職員によって入室が管理されており、第三者が立ち
入ることはできません。
また、この研究の成果を発表したり、それを元に特許等の申請をしたりする場合にも、
研究対象者が特定できる情報を使用することはありません。
この研究によって取得した情報は、九州大学大学院医学研究院形態機能病理学・教授・
小田 義直の責任の下、厳重な管理を行います。
ご本人等からの求めに応じて、保有する個人情報を開示します。情報の開示を希望され
る方は、ご連絡ください。
研究対象者の病理組織、解析結果、カルテの情報を共同研究施設へ郵送する際には、九
州大学にて上記の処理をした後に行いますので、研究対象者を特定できる情報が外部に送
られることはありません。

６．試料や情報の保管等について
〔試料について〕
この研究において得られた研究対象者の病理組織等は原則としてこの研究のために使
用し、研究終了後は、九州大学大学院医学研究院形態機能病理学分野において同分野教
授・小田 義直の責任の下、５年間保存した後、研究用の番号等を消去し、廃棄します。

〔情報について〕
この研究において得られた研究対象者のカルテの情報等は原則としてこの研究のため
に使用し、研究終了後は、九州大学大学院医学研究院形態機能病理学分野において同分野
教授・小田 義直の責任の下、１０年間保存した後、研究用の番号等を消去し、廃棄しま
す。

また、この研究で得られた研究対象者の試料や情報は、将来計画・実施される別の医
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学研究にとっても大変貴重なものとなる可能性があります。そこで、前述の期間を超え
て保管し、将来新たに計画・実施される医学研究にも使用させていただきたいと考えて
います。その研究を行う場合には、改めてその研究計画を倫理審査委員会において審査
し、承認された後に行います。

７．利益相反について
九州大学では、よりよい医療を社会に提供するために積極的に臨床研究を推進してい
ます。そのための資金は公的資金以外に、企業や財団からの寄付や契約でまかなわれる
こともあります。医学研究の発展のために企業等との連携は必要不可欠なものとなって
おり、国や大学も健全な産学連携を推奨しています。
一方で、産学連携を進めた場合、患者さんの利益と研究者や企業等の利益が相反（利
益相反）しているのではないかという疑問が生じる事があります。そのような問題に対
して九州大学では「九州大学利益相反マネジメント要項」及び「医系地区部局における
臨床研究に係る利益相反マネジメント要項」を定めています。本研究はこれらの要項に
基づいて実施されます。
本研究に関する必要な経費は講座寄付金を用い、研究遂行にあたって特別な利益相反
状態にはありません。
利益相反についてもっと詳しくお知りになりたい方は、下記の窓口へお問い合わせく
ださい。

利益相反マネジメント委員会
（窓口：九州大学病院 ARO 次世代医療センター 電話：０９２－６４２－５０８２）

８．研究に関する情報や個人情報の開示について
この研究に参加してくださった方々の個人情報の保護や、この研究の独創性の確保に
支障がない範囲で、この研究の研究計画書や研究の方法に関する資料をご覧いただくこ
とができます。資料の閲覧を希望される方は、ご連絡ください。
また、ご本人等からの求めに応じて、保有する個人情報を開示します。情報の開示を
希望される方は、ご連絡ください。

９．研究の実施体制について
この研究は以下の体制で実施します。
研究実施場所 九州大学大学院医学研究院形態機能病理学
（分野名等）
研究責任者 九州大学大学院医学研究院形態機能病理学分野 教授 小田 義直
研究分担者 九州大学病院 病理診断科・病理部・副部長 准教授・岩崎 健
九州大学病院 病理診断科・病理部・助教・山本 猛雄
九州大学大学院 医学系学府・大学院生・朝永 匠
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九州大学病院 病理診断科・臨床助教・成富 文哉
九州大学病院 病理診断科・医員・谷口 緑
九州大学大学院 医学系学府・大学院生・久我 亮介
九州大学大学院 医学系学府・大学院生・原 大貴
九州大学病院 耳鼻咽喉科・頭頸部外科・准教授・松尾 美央子
九州大学病院 耳鼻咽喉科・頭頸部外科・助教・橋本 和樹
九州大学病院 耳鼻咽喉科・頭頸部外科・助教・古後 龍之介
九州大学病院 耳鼻咽喉科・頭頸部外科・助教・次郎丸 梨那
九州大学病院 耳鼻咽喉科・頭頸部外科・医員・本郷 貴大
九州大学大学院 医学系学府・大学院生・真子 知美
九州大学病院 眼科 助教・田邉 美香

共同研究施設 施設名 ／ 研究責任者の職名・氏名 役割

及び ①九州がんセンター 病理診断科 医長 田口 健一 試料・情報の収集

試料・情報の ②九州がんセンター 病理診断科 医員 杉井 梓 試料・情報の収集

提供のみ行う ③九州がんセンター 頭頸科 部長 益田 宗幸 試料・情報の収集

施設 ④浜の町病院 病理診断科 医長 米田 玲子 試料・情報の収集

⑤浜の町病院 耳鼻咽喉科・頭頸部外科部長玉江昭裕 試料・情報の収集

⑥山口赤十字病院 耳鼻咽喉科 部長 安井 徹郎 試料・情報の収集

⑦岡山大学大学院医歯薬学総合研究科 病理学病理学(腫 試料・情報の収

瘍病理)・教授・山元 英崇 集・解析

１０．相談窓口について
この研究に関してご質問や相談等ある場合は、事務局までご連絡ください。
事務局 九州大学大学院医学研究院 形態機能病理学
（相談窓口） 連絡先：〔TEL〕092-642-6071（内線 6071）
〔FAX〕092-642-5968
担当者：九州大学大学院 医学系学府 大学院生： 久我 亮介
ﾒｰﾙｱﾄﾞﾚｽ：kuga.ryosuke.310@m.kyushu-u.ac.jp
九州大学大学院 医学系学府 大学院生： 原 大貴
ﾒｰﾙｱﾄﾞﾚｽ：hara.hirotaka.555@m.kyushu-u.ac.jp