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2021 企業文化論 9回目 フィランソロピー
2021 企業文化論 9回目 フィランソロピー
1990年頃から、企業が本来の事業活動以外に「社会貢献」と呼ば
11月28日 9回目 企業とフィランソロピー れる活動に積極的に取り組むようになりました。音楽や芸術などの振
興のための支援活動、ボランティア活動への参加、団体等への寄付、
環境保全活動、障害者支援などの人権擁護活動など、幅広い分野
で企業の社会貢献活動は行われています。最近ではその内容が、
企業のホームページ等でも、しばしば紹介されており、「へえ、この企
業がこんなことやってるんだ」と思われた方も案外多いのではないで
フィランソロピーを民主主義の原点と据え、企業フィランソロピーを通
しょうか。
じて、個人の社会参加推進につなげることを柱に活動しています。
企業が社会課題に取り組むことは社会的責任であると同時に、社会
からの信頼を得ることにつながるという認識が広がり始めた昨今、社
会貢献を核とした企業のCSR支援を行い、企業のステークホルダー
である一人ひとりの個人が「より良い社会創造のために自ら考え、課
題解決に向けて行動する」社会の実現を目指しています。 まず、ここでいう「社会貢献」とは、経団連(経済団体連合会)の定義
によると「社会の課題に気付き、自発的にその解決を目指し、直接の
公益社団法人日本フィランソロピー協会 (philanthropy.or.jp) 対価を求めることなく、その持てる資源を投入すること」ということです。
直接の対価を求めないということは、その活動が、広く社会全体の利
益に叶うものでなければならないということであり、持てる資源とは企
業が保有している資金、人材、施設、技術力、等のことをいいます。
フィランソロピー( philanthropy )
もともと、ギリシア語のフィロス( philos:愛する )とアンソロポス
( anthropos:人類 )を語源とし、「他人を愛する、博愛、人類愛」という
意味でしたが、現在では、もっと広い意味で「仲間意識をもってコミュニ 経団連1%クラブは、経団連企業行動・SDGs委員会の下部組織
ティ・社会を愛し大切にする、豊かな住みよい場所にしていくという心 として、企業による社会貢献活動の進展のために活動する、企業
情・意欲を持って社会参加活動を行うこと」と解釈されていて「社会貢 の実務担当者同士の知見の共有、共通課題の検討の場です。多
献」に最も近い語とされています。アメリカで生まれた言葉で、日本で 様なNPO等とネットワークを築きつつ、活動しています。
は、1990年頃から使われるようになったことから、1990年は、フィラ https://www.keidanren.or.jp/1p-club/outline.html
ンソロピー元年ともいわれています。
欧米では企業の利益の一部は社会に還元するのは当然という考
え方があり,税引き前利益の1%をフィランソロピーの目途としている。
社内の文化形成
特にアメリカではこれが 1.6%にも上っているのに対し,日本では
3回目講義 0.3%にすぎない。しかも日本の企業の寄付や資金提供は,自社広
企業文化の形成
告などの見返りを期待したものが多い。この点が経済大国でありな
がら「文化発展途上国」といわれるゆえんであるが,近年,経団連
文化事業
文化活動
も利益の1%を社会への貢献に寄付する「1%クラブ」運動を推進して
社会貢献としての ビジネスとしての おり,社会貢献のための部署を設ける企業も出てきた。
文化活動 文化活動の推進 出典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典
https://www.jinken.ne.jp/flat_class/2002/03/post_17.html
1%クラブの社会貢献活動についての指針より
☞ 社会貢献とみなされないもの
・政治献金
(1)社会貢献活動とは ・関連営利法人への寄付
・自社の従業員の福利厚生の充実を主たる目的とした活動
社会福祉、地域振興、健康・医療、国際協力、国際協力、国際交流、 ・事業遂行上必要な経費として損金算入が認められている業界団体
環境保全、科学技術、スポーツ、芸術文化、教育等の分野において の会費
企業が行う、社会に役立つことを目的にする活動。並びに、企業が ・広告、宣伝を主たる目的とした事業
従業員・役員と協力しつつ行う活動で、自社の利益に直接つながら ・営利を目的とした事業に対する出費、協賛、後援
ないもの。 ☞ 社会貢献活動か否か検討を要する事例
例えば、 配当のある第三セクターに対する出資
現金、物品などの寄付活動 冠イベント、プロスポーツに対する支援活動
企業財団を通じた貢献 教育への援助(自社製品の売り込みやリクルート活動との関連)
施設の開放、地域行事への参加、 官庁、行政機関に対する従業員の出向
従業員、役員によるボランティア活動 科学技術の振興(自社製品・技術開発との関連)
従業員、役員によるコミュニティ活動
従業員、役員による自主的な国際交流活動 等 企業の社会貢献に対する関心が高まるにつれ、大企業では社内に
独立した担当部署を設置する動きが出ている。
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2022/11/23
企業の社会貢献(フィランソロピー)への視点
(1) 企業の社会貢献をどうとらえるか
企業の社会貢献とは、「企業がその社会的存在上、当然負うべきと
考えられる責務のうち、強制を伴わない広範な分野で、原則として
本来の事業活動の外において、反対給付を求めず、自発的かつ積
極的に社会発展に寄与する行為を指す」と経済産業省社会貢献担
当者懇談会は定義している。
https://www.jinken.ne.jp/flat_class/2002/03/post_17.html
(2)いまなぜ社会貢献か
近年、企業の社会的貢献に関心が高まっている背景としては、以下の
ような社会的背景がある。
①経済成長優先時代が終わり、ゆとりと豊かさを見つめる時代に
入った
②企業に経済的余裕ができた
③地域社会との関わり、生活者の利益をより重視した経営の時代を
迎えた
④グローバル経済の時代を迎え、価値観や理念を異にする国、企業、
人との交流が多くなり、在来の行動規範や固定観念のままではつ
きあっていくことが難しくなった
⑤人手不足が深刻になり、社会貢献を通じて企業のイメージアップを
図りたい
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(5)
https://project.nikkeibp.co.jp/atclppp/15/433782/080400437/
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リコーは事業活動において、よ
り良い「製品」「システム」「サー
ビス」をご提供することにより、
社会と文化のよりいっそうの発
リコーの社会貢献に対する考え 展に貢献できるよう努めていま
す。また同時に企業市民として、
会社、社員、株主が三位一体と
なって社会とのコミュニケーショ
ンを図り、より豊かな社会の創
造にお役立ちすることを社会貢
献活動の理念としています。
リコーが社会貢献活動を通じて
世界の人々へ伝えたいことは、
人と地球を大切に思う気持ち、
社会のお役に立ちたいという願
い、そしてそれを実践する行動
力です。この思いから、社会貢
献活動の基本テーマとして人間
の「心」に焦点をあて、「人と地
球を大切にする心と行動を育
む」というスローガンと、2つの
重点分野を定めています。
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~あかり関連製品売上金額の一部を、無電化地域へ寄贈するソーラーランタン購入費用に~
https://www.tokyo-np.co.jp/article/118065
https://www.panasonic.com/jp/corporate/sustainability/citizenship/solution/akari.html