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2022/11/2

11月7日 7回目 グローバル企業文化 その1


グローバルな視点に立つと、国、民族によって文化が異なる。そこ
でまずグローバル企業が直面する「異文化マネジメント」のスキル、
異文化シナジーを検討する。その上で国民文化の差から生ずる各国
の企業文化の異同を明らかにしたい。そして、グローバルな企業文
化の内容や構築方法に焦点を当て、同時に今後の企業のコア・カル
チャーの構築の方向や課題も模索したい。

http://www.techno-con.co.jp/info/back9_1110c.html

異文化マネジメントとは何か? 「異文化」と「企業経営」の関係から見ると「異文化マネジメント」の
*異文化マネジメントの定義とはじまり 歴史はまだ浅い。もとは、文化の異なる人々の接触に伴う「異文化
間のコミュニケーション」という用語で、米国企業の国際化の進展と
異文化マネジメントは広い意味では,人間が異なる民族や国民文 ともに、1960年以降注目された(Hall,1959)。そして1970年代以降国
化の人々や社会に適応し、交流を深め合い,さらには共創的関係を 際ビジネスと文化との関わり、必要スキル、異文化教育、カルチャー
築くようなマネジメント行動をさす。 ショックヘの対処、リエントリー問題など、派遣管理者やグローバル
また組織内の視点からは,目的を共有する経済共同体またはコ 企業における異文化問題に対し、総合的な取り組みが始まったので
ミュニティーとしての組織のなかで、異なる価値システムや慣行をも ある(Harris&Moran,1979)。
つ人材を企業マネジメントの立場から管理・コントロール・調整する
ことが,「異文化マネジメント(cross cultural management)」の基本
である。 日本では,1970年代の海外駐在員や駐在事務所の増加に伴い、
異文化コミュニケーションに対する関心が高まった。しかし、企業の
https://www.slideshare.net/ 関心や研究の焦点は、カルチャーショックや逆カルチャーショック(リ
HiromiFukushima1/ss- エントリー問題)などの心理的側面や、異文化適応・異文化教育・異
34124141 文化コンフリクトなどの教育的側面であった。「文化」を企業マネジメ
ントにおけるコントロールや調整要因としてみなす、現在の「異文化
マネジメント」は、さらにグローバル化が進んだ、1980年代以降のこ
とである。

*異文化マネジメントに求められるスキル 「異文化コミュニケーション(cross culture communication)」という言


葉をはじめて使ったとされるE.T.ホール(1959)は,日常的コミュニ
異文化マネジメントに求められるスキルは、「異文化コミュニケー ケーションにおける「沈黙の言葉」に着目した。
ション」と「異文化シナジー」に区分できる。異文化コミュニケーションと そして,異文化コミュニケーションにまつわる困難への認識の薄さを
は、「メッセージの送り手がひとつの文化の一員で、メッセージの受け 指摘し,異文化への気づきや理解,自己理解の重要性を主張した。
手が別の文化の一員である場合に生じる」及び「異なる文化的な背景
をもった人々の間におけるコミュニケーションのプロセスのこと」である。

*異文化コミュニケーションとは

異文化コミュニケーション能力とは,異文化への気づき(国際セン
ス),語学力を基盤とする口頭・記述コミュニケーション,プレゼン
テーションおよび交渉力・社交性などのことである。

http://ibunkakukan.blog.jp/context.html

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前のスライドにあるように、文化の違いを理解するのに大切な概念 一方、ローコンテクスト文化のコミュニケーションとは、言葉に表現さ
が、文化人類学者、エドワード・T・ホールが提唱したハイコンテクスト れた事が全て、のコミュニケーションの事です。(直接的コミュニケー
(高文脈)文化とローコンテクスト(低文脈)文化のコミュニケーション ション)
の仕方の違いです。 この場合、聞く方は言葉通り受け取れば良く、行間を読む必要も、感
情を読む必要もありません。
ハイコンテクスト文化のコミュニケーションとは、言葉として表現され その代わり、話す方は具象的に話さなくてはならなく、また会話の文
た事よりも、言葉にされていない内容の方が濃いコミュニケーション 中に全ての情報を入れる必要がある為、話す方に負担がかかるコ
の事です。(間接的コミュニケーション) ミュニケーションと言えます。
この場合、簡潔、かつ抽象的な表現が多い為、聞く方は行間を読む
必要があります。よって、受け手の解釈が間違えば、誤解などが起こ ローコンテクスト文化には、スイス、ドイツ、スカンジナビア、アメリカ
る場合もあり、聞き手は人の感情を読みながら聞く必要があり、聞き などが含まれます。
手に負担がかかるコミュニケーションと言えます。

ハイコンテクスト文化には、日本やアジア、南ヨーロッパ、アラブな
どが含まれます。

ハイコンテクスト、ローコンテクストコミュニケーションの例として、商 また、異文化コミュニケーションを強化するための教育技法の開発も
談などで、「納期を〇月×日までにできますか?」と聞かれた時、 進められてきた。異文化教育の中心的技法とされるのが、「カルチュラ
「できません」、という意味の回答をするとします。それが、 ル・アシミレーター(異文化同化訓練法:(cultural assimilator)」である。
それは,1つの文化における事例を取り上げ,その行動の原因を分
日本語 (ハイコンテクスト)では、 析し,その文化における行動が起こる原因の帰属の仕方を学ぶことで
「それはちょっと難しいですね。」 ある。異文化間での相互作用の事例的エピソード,そしてそのエピソー
ドの原因の解釈に関する多数の選択肢と解説から構成される教科書
英語 (ローコンテクスト)では、 を使用し,個人でそのエピソードの正解を理解,学習,またはグルー
“No, it cannot be done.” プ・ディスカッションおよびロール・プレイする。この訓練により,異文化
(いいえ、それはできません。) に対する洞察力を深め,
自己の異文化に対する
と表現される場合があります。 認式不足な点について
の理解を広げるのである。
これらはどちらも、「できない」という意思表示をしていますが、ロー
コンテクストの英語では、できない、というのを直接はっきり言ってい
るのに対し、ハイコンテクストの日本語では、難しいからできないか
もしれない、もしくはできる可能性はゼロに近い(=できない)と、聞く
流通科学大学論集
方が推測する必要があります。 http://ibunkakukan.blog.jp/context.html 081-100nakagawanorikosensei.pdf

*日本企業における異文化マネジメント能力を高める試み
日本企業が早くから異文化マネジメント教育の一環として実施してき
たのが、他国への留学派遣制度である。日本企業が重視してきたOJT
(on the job training)では,国際要員の育成が困難であったため,0ff
-JT(off the job training)として,1950年代から多くの企業での導入が
始まった。
留学派遣制度はその長さにより、短期・中期・長期派遣制度に区分
できる。数週間から数ケ月の短期派遣制度には,語学研修や専門学
校への派遣制度、海外トレーニーとしての海外拠点への派遣制度、エ
グゼクティブ・コースヘの派遣制度などがある。
数ケ月から1年前後の中期派遣制度には,研究機関やシンクタンク
ヘの派遣などがある。
1年から2年間程度の長期派遣制度における派遣先は,MA(経済, グローバル人材育成研修 ~異文化への適
社会,丈系入学院),技術系大学院(理工系・医学・薬学)、ロー・ス 応力とコミュニケーションの活性化~ | NTT
ラーニングシステムズ 営業本部 人材育成
クール(法律学人:学院)、ビジネス・スクールなどである。 WEB (nttls.co.jp)

https://hr.nttls.co.jp/hrd/case/detail/44

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これらの派遣のなかでもとくに異文化マネジメント教育としての期 異文化シナジーとは
待が高く,1950年代から継続されてきたのが,海外のビジネス・ス *異文化シナジーと多様性のマネジメント
クールヘの派遣(MBA学位を修得した社員を「派遣MBA]と呼ぶ)
である。企業が,海外のビジネス・スクールに社員を派遣した場合, 「多様性(diversity)」に関する日本企業の関心は高まっている。,それ
どのようなスキルを期待しているのだろうか。図表4-1は,筆者が は,企業活動における民族・人種,皮膚の色,宗教,性別,国籍,障害,
2000年に実施した米国のビジネス・スクールに社員を派遣している 年齢の異なる人材の多様性を生かす経営のことであり,「多様性のマ
日本企業42社からのアンケート調査結果である。 ネジメント(ダイバーシティー・マネジメント : diversity management」と呼
ばれている。多様性のマネジメントでは,文化の融合・調和と同時に,
企業が期待するスキルは,①国際センス,②英語力,③国際人的 その文化の多様性・差異と共創を重視する。すなわち多様性マネジメ
ネットワーク,④経営管理能力,⑤専門知識である。唯一,英語力 ントは異文化マネジメントより,より広い概念である。
だけが企業の期待と成果の度合いが一致している。英語力を除くス
☞ ダイバーシティとは「多様性」という意味で、性別や年齢、国籍、障がいの有無、
キルはすべて、成果と期待の間にギャップが生じている。それは、 居住地域、家族構成など一人ひとりのもつ様々な属性のみならず、価値観や文
英語力がほかのスキルよりも,具体的に成果としての評価が容易 化など目に見えないものも含みます。
であるためと思われる。経営管理能力と専門知識は,実務的な成 近年、人材の持つ多様性を組織の成長に活かそうと、多くの企業が積極的に取
果が発揮されない限り,その評価が困難であることが,成果が期待 組を進めているのが「ダイバーシティマネジメント」です。そして、属性の中でも、雇
用労働者の4割を占めるといわれている女性の活躍推進は、現在のダイバーシ
よりも低く評価されている要因であろう。
ティ推進の中心的課題となっています。多くの企業がダイバーシティの取組を女
性活躍からスタートさせ、活動を徐々に拡大し、成果を収めています。

企業を取り巻く環境が大きく変化していく中、従来のやり方に固執していては企業 文化の融合・調和の視点から,2つの文化の共同作業(シナジー)
の成長・企業の発展は見込めません。ダイバーシティ推進は、複雑化・高度化したビ により,新しい第3の文化の創造の方向を主張したのがP.R.ハリ
ジネス環境において、もはや不可欠な選択だともいえます。
ス&R.T.モーラン(1979)であり,「カルチュラル・シナジー(cultural
ダイバーシティ推進は、組織で働くすべての人の価値観やライフスタイルを尊重し
ながら、自律的に考え行動し組織に貢献する環境を作ること。つまり個人の力を組織 synergy)]を提唱した。日本では林(1985)が,文化融合の視点から
の力に変えていくことにほかなりません。個人のもつ「違い」と「共通」に目を向けなが 「組織内の異文化グループ間の接点に位置して,上からの機能情
ら多様な価値観・発想を取り入れることで、ビジネス環境の変化に迅速かつ柔軟に対 報を下位に伝達し,下位のフィールドバック情報を上位に伝達する
応し、新たな価値を創造していくことが可能となるのです。 ことを通じて,経営効率化をはかる」(林,1985、p.33)ことを「イン
ターフェース管理(interface administration)」と呼び,2つの文化の
橋渡し役をするインターフェース管理者の育成を提唱している。

https://www.bmefcolleges.e
du.in/uploads/v3n2sl13.pdf

文化の多様性・差異を重視する視点から「文化的多様性を無視した
り最小化せずに,むしろそれを組織設計と開発にとっての資源として
見る」(Adler、1991、邦訳p.105)ことを提唱したのが,N.J.アドラーで
ある。マルチ・カルチャー主義に基づく異文化シナジーのメリットとデメ
リットを,図表4-3のように整理した。メリットとして,意味や選択肢が
拡大し,それが創造性・柔軟性を高め、問題解決スキルの向上をもた
らすとしている。 しかし一方では,多様性とは曖昧さ・複雑さ・混乱を
増大し、意味の統一や行動の統一が困難になると指摘している。
これらの提案を受けて、日本でも異文化シナジーの重要性が認識さ
れた。異文化のメリットを享受しつつ、デメリットを最小に抑える異文化
マネジメントのあり方は、日本企業の重要な課題であろう。
アルフレッド・アドラー(Alfred Adler 1870-1937)
ユダヤ系オーストリア人心理学者
「自己啓発の父」として注目されている。
近年、『嫌われる勇気』が話題となっている。
アドラーは、かつてはフロイトとともに研究
していたが決別し、独自の「個人心理学」を
構築した。その学説はフロイト理論とは大きく
異なり、たとえば苦しみの原因を「トラウマ」
に求めない。

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https://www.google.co.jp/url?sa=i&url=https%3A%2F%2Fstyle.nikkei.com

*異文化シナジーを高める方法 それは,日本企業がこれまで不得意とする外国人の活用に着目し,
「郷に入っては郷に従え」という諺があるが、文化の多様性や差異 彼らの定着を意図的に実施していくことで,組織内に「多様性」を生
を無視して、ひとつの文化への同化を強制すると,組織における異 み出すことである。そのためには,「多様な人材を活かす戦略」や
文化シナジー効果は低くなる 日本企業はとくにこの傾向が強いと 「文化を超える経営(差異を強調するのではなく,ビジネスの共通の
言われてきた。日本人への融合を求めすぎることで,優秀な外国人 価値観を坊本として相違点を融合させること)」が必要であるという。
社員から敬遠されることも少なくない。結果として,日本企業におけ
る外国人社員の転職率の増加,短い在職期間などを引き起こして そして日本企業が外国人を活用するために必要なことは,彼らを
いる。 適正な報酬で有効かつ連切に活用する仕組みづくりであるという。
そこで日木経済団体連合会は,2003年に「多様性のダイナミズム 外国人が働きがいを感じる仕事と処遇を提供することが不可欠で
を実現するために『人材開国』を」という外国人受け入れ問題に関す あるとしている。
る提案書を発表した。それは,「多様性のダイナミズム」と「共感と信 また,とくに外国人は多様な雇用形態の中から自らが選択し,そ
頼]を基本理念として制度改革に取り組み,日本経済に活力を取り の中で自分のキャリア・パスを描くことを期待している。日本での滞
戻ることを目的としたものである。 在期間が短期間であっても,その期間に自分に何かできるのか,
報告書の中で、「異文化シナジーを生み出す経営のあり方」として, その次のステップとして何をするかを強く意識している。そのような
異文化シナジーと多様性のマネジメントの新たな次元を提唱してい
る。 姿勢で仕事に取り組む外国人にとって,日本企業のキャリア・パス
はきわめて不透明なものに映ることも問題点として指摘している。

※本調査は2018年11月21日~12月4日にWEBアンケートを実施し、有効回答1万353社を集計、
分析した。
「外国人雇用に関するアンケート」調査 外国人労働者を「雇用したい」は55.3%、低賃金な 【経営者1,048人にアンケート!】外国人労働者を雇用した経営者の6割が〇〇を目的と
どの問題も浮上 : 東京商工リサーチ している!?期待した成果とデメリットとは・・・?|株式会社レソリューションのプレスリ
https://www.tsr-net.co.jp/news/analysis/20181225_01.html リース (prtimes.jp)

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図表1-外国人を雇用・活用するにあたっての社内システム上の問題点

【経営者1,048人にアンケート!】外国人労働者を雇用した経営者の6割が〇〇を目的として
いる!?期待した成果とデメリットとは・・・? (fnn.jp)

図表2-外国人受け入れにあたっての日本企業の課題

2020年卒 企業 外国人留学生採用状況調査
| 調査・データ | コラム | 経営と人材をつなげ
出典:日本経団連「外国人受け入れ問題に関するアンケート調査」(2003年10月) るビジネスメディア「HUMAN CAPITAL サポネッ
ト」 (mynavi.jp)

外国人採用における課題や懸念点とは? 「外国人材は定着しない」は真実か──日本型育成の落とし穴 - パーソル総合研究所


対策方法を事前に理解しよう - 人事担当者 (persol-group.co.jp)
のためのミツカリ公式ブログ
(mitsucari.com)

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アデコは、日本企業に常勤する外国人の意識調査の結果を発表した。調査は今年10月に実
施し、日本の企業に常勤しているホワイトカラーの外国人300人から回答を得た。

外国人留学生の6割超、日本企業の「終身雇用」「新卒一括採用」に違和感:海外の人材獲得
にハードル(2/2 ページ) - ITmedia ビジネスオンライン
日本で働く外国人「日本人は仕事の精度は高いが、時間管理が下手」 不満は「上司が帰る
まで帰れない」「飲み会強制参加なのに割り勘」 (2017年12月1日) - エキサイトニュース
(excite.co.jp)

各国の企業文化
*なぜ各国の企業文化は異なるのか

文化は多層的である。というのは,文化は,家族,組織,国家など,
多元および多層的に形成されるからである。それぞれを、家族文化
(家風),企業文化,国民文化,と呼ぶことができる。
各国の企業文化が異なるのは,とくに国民・国家文化(national/state
culture)が異なるためである。国民・国家文化とは「国家の歴史,政治,
経済,社会システムから形成される国民に共通的な文化であり,一般
には国民文化と呼ばれるマクロ文化(macroculture)であり,その中核
は人間観,人間関係観,時間・空間意識といったいわゆる基底的価値
【日本で働く外国人社員アンケート】日本の「雇用の安定」を評価(約50%)する一方で、「役
割の曖昧さ」「人事評価の基準」には不満(各約30%)も!|株式会社オリジネーターのプレ
としての世界観が中核となる」(根本&ティレフォーシユ八本,1994、
スリリース (prtimes.jp) p.14)と言われている。世界観が異なる国民・国家文化の影響を,各国
の企業文化は受けることになる。ゆえに,ひとつの組織の中でも拠点と
なる国が異なれば,企業文化には差異がみられるのである。

*ホフステッドによる国民文化の「6つの次元」
グローバル経営における企業文化を考察する目的は、「異文化間で
経営活動を行う多国籍企業を機能させるものは何か」および「多国籍 ホフステッド(Geert Hofstede 1928-2020)は、IBM社の海外子会社
企業を機能させる重要な文化的要因は何か」を探ることにある。 50カ国と3つの地域の社員を対象に、国民文化の違いを体系的・実証
的に示している。ホフステッドが提唱する文化の次元は6つであり,異
各国の企業文化を比較考察することは、 なる価値の枠組みを設定している。
共通な文化要因(コア・カルチャー : core culture) それらの次元とは,以下である(図表4-3参照)。
異なる文化要因(サブ・カルチャー : sub culture) ①権力格差(power distance),
または、(ノン・コア・カルチャー : non core culture) ②不確実性回避(uncertainty avoidance)
③個人主義と集団主義(jndividualism vs collectivism)
を探り,多国籍企業の経営を調整・コントロールしていく要因としてとら
えていくことである。 ④男性化と女性化(masculinity vs femininity),
⑤短期志向と長期志向
多国籍企業の企業文化をどのような次元または要因から考察してい (short-term orientation vs long-term orientation)
くかが,各国の企業文化を比較検討する上での基本的かつ重要な視 ⑥人生の楽しみ方
点である。
(Restraint vs. Indulgence)

Hofstede's Cultural Dimension - Hong Kong VS Thailand (google.com)

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各国の国民文化を様々な点から定量的に示す『ホフステードモデル』

グローバル・ウインド「外国人をはじめ、日本人同士でも使える異文化適応力(CQ)のご紹
介」(2021年3月) | 一般社団法人 東京都中小企業診断士協会 中央支部 (rmc-chuo.jp)
「人一生の育ち」を考える ’教育×経済’ 対話 第三回「21世紀の多様性と国民文化」 | https://www.rmc-chuo.jp/globalwind/2021031101.html
未来教育会議 (miraikk.jp)

The 6-D model of national culture 人類共通の課題を、6つの次元として表現している。

①「権力格差 小さい 対 大きい」:権威との関係。自分よりパワーがある人に対し、


どのように感じるのか
②「集団主義 対 個人主義」:社会とどう関わるかにおいて、集団に依存して生きる
のか、自立して生きるのか
③「女性性(やさしさ) 対 男性性(タフ)」:動機付けの要因が、達成する、成功する、
地位を得ることなのか(男性性)、家族、友人、大事な人と一緒にいる時間を大切
にすることなのか(女性性)
④「不確実性回避 低い 対 高い」:不確実な事、曖昧な事、知らないことに対して
どのように向き合っていくのか
⑤「短期志向 対 長期志向」:時間・未来に対してどう考えるのか
⑥「人生の楽しみ方 抑制的 対 充足的」:人生を楽しみたい、或いは楽をしたいと
いう気持ちについて、抑制して物事にあたるのか、充足させる方向に向かうのか

この数値を通して、国民文化を客観的、相対的に捉えることができます。つまり、世
の中や、組織の中で起きている事象をシステムとして理解できるので、問題をニュー
トラルに捉えることができます。個々人が持つ課題というのではなく、文化的な分析を
ホフステードの6次元モデル | blog|AMIPARTNERS - 税務・移転価格・会計・法務 の トータル することで解決策を見出せるのです。
ソリューション・プロバイダー
https://amipartners.de/blog/diary/330/

*ホフステッドの調査にみる各国の国民文化の違い
ホフステッド(Hofstede、1991)の調査結果から,日本、中国,韓
国,米国の5つの文化指標をまとめたのが,図表4-4である。4力
国の指標を比較してみると,
日本は「男性らしさ」と「不確実性を回避する」指標が比較的高い。
中国は「個人主義」の指標が低く,連に「長期志向」の指標が高い。
米国は「個人主義」と「権力格差」の指標が低い。
日本では一般的に,女性は家にとどまり,外で働かずに子供の面
倒をみることが期待されている(男性化)。逆に,米国では女性は働
くことが奨励されており,育児に対する一定の援助が出産休暇や育
見所のような形で与えられている。また,男性化/女性化の次元は,
職場での動機付けにも重要な意義を持っている。日本の“QC
(quality control)”は,最高の品質を達成することを目指したもので
あるが,これは,高い「男性化」と「不破実の回避」の指標に示され
ている。

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「7つの文化圏」と「メンタルイメージ」で理解する
この図は、世界の国々を7つの文化圏に分類したもので、注目は、7つ目の文化圏
ホフステッドのこうした調査は,基本的価値としての国民文化の は日本だけである。つまり日本が属する文化圏は、世界の中でどの国にも似てお
客観的方向を示した点で評価されている。しかし,このような国民 らず、特殊な世界観・メンタルイメージのパターンを持っているということ。
文化と企業文化および企業制度や組織構造などのハード面との
関連が,課題として残されていよう。

https://www.cicombrains.com/opinions/02/02-181106mk.html

第2に、経営資源観としては、日本は個々の「人」を重視し、中国は
*日・中・韓・米の企業文化の比較 「人間関係」を重視する。韓国は企業をひとつの家族集団とみなすた
め、個々の社員よりも家族全体(企業全体)を重視する。一方、米国は
人よりも資本を重視する傾向が強い。

日本、中国、韓国、米国の企業文化を比較する際の次元を、 第3に、組織集団観としては、日本は協調を中心とした集団志向、中
①経営理念、②経営資源観、③組織集団観、①経営管理スタイル、 国は個人の成果を重視する個人志向、韓国は企業全体の成果を重視
⑤経営環境観 する家族志向、米国は競争を中心とした個人志向であると言えよう。
の5点に絞り、まとめたものが図表4-5である。これら4カ国の企業
文化要因を簡単に比較してみよう。 第4に、経営管理スタイルは、日本は組織の中の権力は分散されて
おり(ボトム・アップ)、インフォーマルなコミュニケーションや情報伝達
が重要な役割を持つ。逆に、中国、韓国、米国は、権力は中央に集権
第1に、日本の経営理念は、社員を尊重し、顧客の満足や組織の
されており、強力なトップ・ダウンの経営スタイルが主流である。とくに
団結を重視する傾向にある。中国は、企業の成長、顧客の期待への
韓国では、財閥(チェボル)の企業経営者と所有者が一体化する傾向
挑戦、そして組織よりも個人の成果を重視する。韓国は、企業の成長、
にあるため、強力なトップ・ダウン形式のマネジメント・スタイルが多い。
顧客の意識を変革する。そして企業を家族集団とみなして重視する。
米国は、株主や顧客の満足度を重視し、企業と株主、市場、国際関
係、自然環境などとの関係を重視している。

第5に、経営環境観としては、日本は古代からの自然崇拝の影響か
ら、ものごとの自然発生的なプロセスや流れを重視するため、長期志
向である。中国と韓国は、中庸を基盤とする儒教が生活様式の一部と
なっているため、中期的な志向にある。一方、米国は個人の努力や
ハード・ワーク、すなわちプロテスタンティズム(キリスト観)が労働の根
底にあるため、短期志向であると考えられよう。

このように各国の企業文化の要因(次元)を比較することにより、企
業文化の概要を示すことが可能になる。各国の企業文化の特徴を知
ることは、グローバルな企業文化を構築する際に重要なことである。

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